脆弱X症候群(指定難病206)

ぜいじゃくえっくすしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「脆弱X症候群」とはどのような病気ですか

脆弱X症候群は、発達遅滞/知的障害を特徴とする疾患で、その他に大きな耳、長い顔などの身体的特徴や行動異常(自閉傾向、多動、注意欠如など)が知られている遺伝性の病気の1つです。しかし、身体的な特徴はわかりにくく、発達遅滞/知的障害を特徴とする病気は多いために、症状だけからは診断が難しい病気です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

日本人の男性で1万人に1人ぐらいの頻度で、約5,000人の患者さんがいると考えられます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

この病気は知的障害をもつ方の中の、100~200人に1人の割合と考えられています。遺伝性ですが、家族の中で1人だけが病気のこともしばしばあり、遺伝子検査を行わないと見逃すことも多いと考えられます。

4. この病気の原因はわかっているのですか

この病気の原因は、性別に関係するX染色体にあるFMR1遺伝子という名前の遺伝子の異常によることがわかっています。この遺伝子の一部(CGGの繰り返し)が長くなると、遺伝子が働かなくなり病気になります。この遺伝子は、脳の神経細胞のシナプスと呼ばれるところで重要な働きをしています。そのために、この遺伝子が働かなくなるとシナプスの働きが悪くなり、知的障害や行動の異常などの症状が出てくると考えられています。


図1 脆弱X症候群の遺伝子の異常

5. この病気は遺伝するのですか

FMR1遺伝子のCGGの繰り返しの長さは個人差があります。正常では、54回以下の繰り返しですが、これを超える長さの繰り返しをもつ 保因者 (55~200)の方がいらっしゃいます。この保因者の方は知能の障害はないのですが、その保因者の方のお子様では、この繰り返しの長さが、とても長く(200以上)なる場合があり、この場合に脆弱X症候群になります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

男性の場合は知的障害、自閉傾向や注意欠如、多動のような行動異常、大きな耳などの身体症状もよくみられる症状として知られています。その他にてんかん、睡眠障害、関節の過伸展、扁平足、僧帽弁逸脱症、斜視、中耳炎、胃食道逆流症による摂食障害など、成人期以降では不安、強迫症、攻撃性、うつ症状などの精神症状がみられる場合があることも知られています。女性の場合は、無症状の場合もあるのですが、軽度から中等度の知的障害をもつ場合もよくあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現段階では根本的な治療法はありませんが、治療薬の開発や、海外では治験が進められています。てんかんなどの合併症に対しては、抗てんかん薬、その他の合併症に対しては、それぞれの症状に対する対症療法を行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

知能の障害の変動はほとんどなく、一生続きます。それぞれの患者さんの経過は、合併症の程度によって異なります。一般的には、生命的な 予後 は悪くありません。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

てんかんなどの合併症がある場合には、それに対する注意が必要な場合がありますが、日常生活はできるだけ普通に過ごして下さい。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

National Fragile X Foundation(NFXF):
https://fragilex.org/fragile-x/
(米国で設立された脆弱X症候群の基金ですが、世界中のネットワークを構築し、専門家のみならず患者さんやその家族側からの多くの情報が掲載されています)
脆弱X症候群、脆弱X症候群関連疾患について:
http://fragile-x.med.tottori-u.ac.jp/

 

情報提供者
研究班名 先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ班 
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和4年7月)