眼皮膚白皮症(指定難病164)

がんひふはくひしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「眼皮膚白皮症」とはどのような病気ですか

出生時より皮膚、毛髪、眼の色(虹彩の色)が薄く、全身の皮膚が白色調、眼の虹彩の色は青から灰色調を呈する遺伝病です。視力障害や眼の揺れ(眼振)を伴うことが多く、頭髪は白から茶褐色、あるいは銀色を呈します。メラニン色素の合成が減少、あるいは欠損するために起こります。大きく2つのグループに分類され、一つはメラニン色素合成が少ないことによる症状のみを呈する非症候型です。もう一つは、それに加え、出血が止まりにくい、あるいは子供のころから肺炎にかかり易いなどの合併症を伴う症候型です。非症候型8種類と症候型15種類(計23種類)がこれまでに報告されています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

日本にはおおよそ5,000人がいると推定されます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

常染色体 潜性遺伝(劣性遺伝)性 疾患ですので、親は健常人であることが多いです。
また、近親婚の夫婦からは、そうでない夫婦に比べて本症に罹患した子供の出生率が高くなります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

メラニンという色素の合成や細胞内輸送に関わる 遺伝子の変異 によって発症します。

5. この病気は遺伝するのですか

同じタイプの本症患者同士の夫婦からは、ほぼ100%の確率で本症の子供が出生します。片親のみが患者の場合、本症の子供が出生する確率は100~200回の妊娠に1回程度です。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

全身の皮膚が白色調、青から灰色調の虹彩、矯正不能な視力障害や眼振等の眼症状、そして白から茶褐色あるいは銀色の頭髪を呈します。合併症を有するタイプでは、出血傾向、免疫不全、神経症状などを合併することがあります。また、一部のタイプでは、中高年になると間質性肺炎や 肉芽腫 性大腸炎を高率に合併することもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

確立された根治的な治療は、今のところありません。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

出生時より全身の皮膚が白色調であり、多くの患者さんでは視力障害を伴います。合併症を伴うタイプでは、出血が止まりにくい等の症状も伴います。タイプによっては、成長と共に色が濃くなる患者さんもいます。どのタイプであっても中高年になると、皮膚癌の発生率が高くなりますので、幼少期からの紫外線対策が必要です。一部の合併症を伴うタイプでは、中高年に間質性肺炎を発症することもあります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

生活指導の一環として、乳児期からの不断の紫外線の遮光や生活空間における照度に対する生活指導が重要です。また、時に化粧品によるカバー等が行われます。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

全身性白皮症
非症候型眼皮膚白皮症
ヘルマンスキー・パドラック症候群
チェディアック・東症候群
グリセリ症候群

11. この病気に関する資料・関連リンク

英語のサイトですが、以下のサイトの記事が参考になります。
 
Genetics Home Reference:
http://ghr.nlm.nih.gov/condition/oculocutaneous-albinism

 
情報提供者
研究班名 稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年11月(名簿更新:令和5年6月)