ロスムンド・トムソン症候群(指定難病186)

ろすむんどとむそんしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「ロスムンド・トムソン症候群」とはどのような病気ですか

若いうちに白内障が発症したり、日光で悪化する皮膚所見、顔面、四肢などの皮膚委萎縮、小柄な体型を特徴とします。四肢の奇形を伴うこともあります。骨肉腫などの癌を高率に合併します。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

現在、日本で約十人とされています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

遺伝性の病気ですので、どのような地域や人に多いということはありません。血族婚では発症しやすくなります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

遺伝子の修復に必要なRecQL4タンパクの異常です。

5. この病気は遺伝するのですか

父( 保因者 :2つの遺伝子のうち、1つの遺伝子に傷がある)、母(保因者)がお子さんをもうけた場合、25%の確率で生まれてきます。次子を希望される場合、遺伝について詳しくお知りになりたい方は 遺伝カウンセリング を受けるのも一つの方法です。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

全体に小柄な体型です。日光を浴びたところがやけどのようになったり、湿疹のような皮膚症状があります。生まれながらに手の骨や指の一部が欠けたりします。本来、老人に多い白内障が乳幼児期に発症したりします。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

病気そのものに対しての治療法は今のところありません。いったん生じた皮膚症状への有効な治療法はありせんが、日光を避けるようにします。白内障は眼科が、骨異常は整形外科が対応します。指が欠けている場合は手術を行う場合があります。癌ができやすいので定期的に診察をうけて、早期発見が必要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

癌を合併しない場合、寿命などは通常の人に近いと考えられています。
骨や皮膚の癌が出現した場合は、癌に対しての治療が必要になります。
この病気に発生した癌の抗癌剤に対する 反応性 は、通常の癌と変わらないとされています。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

日光を避けます。足をひきずるとか、皮膚のできものなど癌のサインに注意してください。
虫歯ができやすいので、歯のケアを十分にして下さい。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

ロスムンド・トムソン症候群(Rothmund-Thomson症候群)の病因遺伝子であるRECQL4の変異により、下記に記載する2つの病名の病気が発症します。
バレー・ジェロルド症候群(Baller-Gerold症候群)は、冠状縫合の早期癒合による短頭や橈骨欠損、拇指欠損を特徴とします。骨肉腫、皮膚癌、悪性リンパ腫を合併することがあります。
ラパデリノ症候群(RAPADILINO症候群)は、以下の特徴的な症状の頭文字をとって名付けられています。橈骨欠損・低形成、膝蓋骨欠損・低形成、口蓋の低形成、口蓋裂、慢性の下痢、関節の脱臼、小柄な体型、四肢の奇形、細長い鼻、正常な知能を特徴とします。高率に骨肉腫等の癌腫を合併します。
2つの病気は、ロスムンド・トムソン症候群と同じ遺伝子変異により発症しますので、ロスムンド・トムソン症候群と症状が重なり区別がつかない場合もあります。このことから現時点ではロスムンド・トムソン症候群に含めて取り扱うこととします。

 

情報提供者
研究班名 早老症のエビデンス集積を通じて診療の質と患者QOLを向上する全国研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)