ギャロウェイ・モワト症候群(指定難病219)

ぎゃろうぇいもわとしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「ギャロウェイ・モワト症候群」とはどのような病気ですか

腎臓と脳神経の2つの臓器の細胞機能異常および形成異常によって起こった腎機能障害(ネフローゼ症候群、腎不全)と中枢神経障害(てんかん、精神運動発達遅滞)に加えて、小頭症、顔面・四肢奇形を合併する 先天性 疾患です。疾患名は1968年最初に症例を報告した、英国小児科医2名の名前(GallowayとMowat)に由来しています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

平成22年度の班研究全国調査で、少なくとも約200名(軽症例を含めると、さらにもっと多い)と推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

発症に、人種、地域、男女差はなく、世界中で広く報告があります。発症年齢は、出生直後から3歳頃までに発症することが多いです。中には発症・進展がゆっくりで、学童~成人で診断される例もあります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

病因は遺伝子変異と考えられています。しかし原因遺伝子は複数存在すると推測され、大部分の症例ではまだ特定されていません。WDR73遺伝子変異が報告されて以降、WDR4NUP107NUP133遺伝子変異が報告され、近年LAGE3、OSGEP、TP53RK、TPRKBの4つのサブユニットから構成されるKEOPS complexの遺伝子変異が報告されています。複数の報告があるのはWDR73変異とKEOPS complex変異ですが、遺伝子変異によって臨床像はかなり異なります。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝子が特定されているわけではないのですが、大部分はご両親には症状はなく、患者さんにのみ発症し(孤発例)、残り約1-2割が同胞例です。これらのことから、本症は常染色体潜性(劣性)の遺伝形式をとると考えられ、同胞ごとに約1/4の確率で同じ病気になると考えられます。常染色体顕性(優性)の遺伝様式の場合には親からの遺伝とはならず、患者さんのみに生じた新しい変異(突然変異)という形を取ります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

ギャロウェイ・モワト症候群では、腎臓と神経の2つの臓器に細胞機能異常・形成障害がおこることが特徴です。腎臓と神経の症状は同時に出ることもあれば、どちらか一方のみが先に出る場合もあります。しかし、最終的に2臓器に障害が共存することが、診断に必須となります。
腎症状は、尿中に大量の蛋白が漏れること(ネフローゼ症候群と呼びます)が特徴です。初発症状としては、浮腫(むくみ)を自覚したり、あるいは検査値異常(尿蛋白陽性と低蛋白血症)が見つかり、診断される場合が多いです。腎機能障害が進行すると、毒素や水がたまることによる症状(それぞれ尿毒症症状や心不全症状)を合併します。
一方、神経症状としては、精神運動発達遅滞とてんかん発作があります。出生時からの小頭症、後天的にみられる小頭症、大脳萎縮や小脳低形成、脳回形成異常などが報告されています。また眼球運動、視力、聴力障害や、四肢や顔面(額・耳介・顎・歯など)の小奇形を伴う場合があります。WDR73変異に比べてKEOPS complex変異では出生時からの小頭症、耳介形成異常や早期からの腎症合併が多いです。重症例では、筋緊張低下により、呼吸や 嚥下障害 を来すことがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

原因はまだわかっていないため、症状に応じた対症療法が行われています。ネフローゼに対しては、まず浮腫軽減と腎保護を目的とした保存的治療、例えば食事療法、薬物療法(利尿、降圧薬)等、が行われます。それでも浮腫や腎機能障害が改善しない場合には、免疫抑制療法(ステロイドなど)が行われます。しかし無効であることが多く尿蛋白はあまり減らず、腎機能低下も進行することが多いです。末期腎不全に進行した場合には、腎代替療法(血液、腹膜透析、腎移植)が必要になります。てんかん症状には、抗てんかん薬の薬剤療法が基本ですが、難治例では外科的治療が考慮される場合があります。神経発達の異常については療育やリハビリテーションが行われます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

一般に症状は進行性で、重症例では2-3歳までに腎不全になり、 6歳前後で亡くなられることが多いです。しかしながら、患者さんごとに腎や神経の障害程度はさまざまで、成人期まで日常生活の大きな支障をきたさず、緩除に進行する例もあります。遺伝子変異の型により進行は異なります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ネフローゼに対して免疫抑制療法中の場合は、服薬量や時間を守り、感染、糖尿病、骨粗鬆症、 血栓症 、成長障害などの、合併症を防ぐことが大切です。また腎不全が進行した場合は、塩分制限を考慮した食事療法が、高血圧や心不全の予防につながります。
てんかん発作がある場合も同様に、服薬指示を守ることが大切です。もし日常生活を制限しうる神経や筋症状を伴う場合は、リハビリテーションや行動療法をしたり、ふだんから誤嚥や感染予防のケアを行うことが、からだの健康を保つために重要となります。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

「小児腎領域の希少・難治性疾患群の診療・研究体制の発展」研究班ウェブサイト
http://pckd.jpn.org/

 

情報提供者
研究班名 小児腎領域の希少・難治性疾患群の診療・研究体制の発展班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和4年7月)