特発性後天性全身性無汗症(指定難病163)
とくはつせいこうてんせいぜんしんせいむかんしょう
- 原因はまだはっきりわかっていませんが、主に汗腺(*1)の障害が関係していると考えられます。ひとつは、汗腺の表面にあるアセチルコリン受容体の異常です。通常、神経から分泌されるアセチルコリン(*2)という物質がこの受容体に結合することで汗が出ますが、異常があると発汗が低下します。もうひとつは、汗腺そのものが傷んで汗を作れなくなる場合や、傷んだ汗腺から皮膚内に汗が漏れてしまい結果として汗が減る場合です。
どうして急に汗が出なくなるのですか?
- はい、これらの症状は多くの方に見られます。ただし正確な原因はまだわかっていません。アセチルコリン(*2)や、汗腺から皮膚内に漏れた汗が神経や肥満細胞(*3)を刺激することで、痛みやかゆみ、発疹(じんましん(*4))が起こるのではないかと考えられています。
ピリピリとした痛みや痒み、発疹(じんましん)を伴いますか?
- 無汗症が疑われるときは、体を温めて汗の出方を調べる温熱発汗試験を行います。皮膚にヨウ素とデンプンを塗って汗の出る部分が暗紫色に変色するかを確認する方法(ヨウ素デンプン反応)が代表的です。ほかに薬を使って局所の発汗をみる検査や、サーモグラフィーで体温の変化を調べる方法もあります。必要に応じて皮膚や血液の検査も行い、これらを組み合わせて診断します。
どんな検査が必要ですか?
- 現在のところ、医学的に有効性が確立された薬や治療法はありません。ただし、ステロイド投与が有効であったとする症例報告(*5)が複数あり、症状が生活に大きな支障を及ぼす場合にステロイド治療が考慮されます。その効果は報告によって異なり、改善率はおおよそ50~90%とされています。その他、じんましん治療薬(抗ヒスタミン薬やオマリズマブ)、漢方薬、血流改善薬、唾液分泌促進薬などで発汗が改善したとの報告もあります。また、多くの有効例では、無理のない範囲で運動や入浴などの発汗刺激を生活に取り入れていたことも示されています。
どんな治療があるのですか?
- ステロイドが効く理由はまだはっきりとわかっていません。無汗症では、何らかの免疫反応(*6)によって汗腺が障害されていると考えられています。そのため、ステロイドがこの免疫反応を抑えることで症状が改善するのではないかと推測されています。
どうしてステロイドが効くのですか?
- この病気は他人に感染したり家族的に遺伝したりはしません。
病気は人に感染したり遺伝したりしますか?
- 熱中症を起こしやすいため、暑く湿度の高い環境や強い運動には特に注意が必要です。基本的には涼しい環境で過ごし、クールベストや水分の携帯など体を冷やす工夫を心がけてください。一方で、医師の指導のもとで安全が確保できる状況では、軽い運動や適度な発汗刺激を生活に取り入れる場合もあります。ただし決して無理をせず、体調に応じて調整することが大切です。
生活でどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?
- 現在のところ「完全に治る」とはいえませんが、ステロイド療法などで症状が改善する方は半数ほどおられます。治療の効果には個人差があり、再び症状が出る場合もありますが、多くの方が工夫しながら日常生活を送ることができています。今後も研究が進むことで、さらに良い治療法が見つかることが期待されています。
この病気は治らないのでしょうか?
用語説明
*1 汗腺:汗を出す皮膚の分泌腺です。
*2 アセチルコリン:神経から出る物質で、汗腺を刺激して汗を出させます。
*3 肥満細胞:体を守る免疫細胞の一種で、かゆみやじんましんの原因物質を出します。
*4 じんましん:かゆみを伴う赤いふくらみが急に出たり消えたりする皮膚の反応。
*5 症例集積報告:複数の患者さんの治療経過をまとめた研究報告。
*6 免疫反応:体が異物を排除しようとする働き。ときに自分の体を攻撃して病気を起こすこともあります。
難病治験ウェブ(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
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