中毒性表皮壊死症(指定難病39)

ちゅうどくせいひょうひえししょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

健康食品やサプリメントが中毒性表皮壊死症の原因となることがありますか?

健康食品やサプリメントの中には、病院で処方されるような薬剤が混じっていたり、人体への影響が分からない物質が混入している場合もあるようです。このような場合には健康食品やサプリメントも中毒性表皮壊死症の原因になることがあります。

中毒性表皮壊死症の原因はどのようにして決めるのですか?

感染症に伴って生じていると考えられる場合には、疑われる病原体(細菌やウイルスなど)の検出や抗体値の検査などを行います。また、薬剤を原因として疑った場合には、症状の発現までの経過や薬剤の内服期間、投薬されている薬剤の過去の薬疹発症の既往などを参考にして、原因として疑われる薬剤を探します。また、患者さんから採取した血液と薬剤を混ぜてリンパ球が増殖するかどうかをみる検査(薬剤添加リンパ球刺激試験)や貼布試験(パッチテスト)を施行し、その結果を参考にして原因を決定することもあります。しかし、このような検査を行っても感染症の原因や原因薬剤を確定できないことも多いようです。

中毒性表皮壊死症は、多量のお薬を服用した場合により重症になるのでしょうか?

中毒性表皮壊死症の重症の程度は、内服したお薬の量には直接は関係しません。1回の内服でも重症になることがあります。しかし、発症してからも原因薬剤を内服し続けると、皮膚・粘膜病変、臓器障害はより進行して重篤になることが多いようです。

中毒性表皮壊死症で皮膚の斑点の他に眼やのどの痛みが強い場合、眼科や耳鼻咽喉科の診察はどのようになりますか?

皮膚科の診察で中毒性表皮壊死症が疑われた場合には、多くの場合、眼科を受診し、中毒性表皮壊死症の眼病変がないかどうかについて診察を受けて頂きます。また、のどの痛みがあったり、飲み込みにくいような場合には、適宜、耳鼻咽喉科での診察も受けて頂きます。

中毒性表皮壊死症にかかった場合には治療期間は長くなるのでしょうか?

皮膚や粘膜の病変や臓器障害の程度にもよりますが、通常、治療期間として1ヵ月以上を要します。細菌感染症やウイルス感染症を併発したり、呼吸器などの後遺症が出現した場合には、より長期間の加療が必要になります。また、重い基礎疾患がある場合や、高齢者では入院加療期間が長くなる傾向が認められます。

中毒性表皮壊死症では皮膚に水疱や表皮剝離が出現するということですが、治癒した後に皮膚に跡は残るのでしょうか?

中毒性表皮壊死症で症状として出現する水疱やびらんは、皮膚の比較的浅い部分の病変です。このため、通常、治癒した後に皮膚に淡い褐色調の色調が残ったり、また、反対に皮膚が白っぽくなったりすることがあります。しかし、大部分において、このような色調の変化は徐々に消失し、正常の皮膚色に近づきます。しかし、爪の周囲に水疱などができた場合には爪の変形を残したり、爪の脱落をきたすことがあります。

中毒性表皮壊死症では、皮膚以外に後遺症を残すことはありますか?

中毒性表皮壊死症では、眼に病変が生じると、視力低下、まぶたの癒着、ドライアイなどの後遺症を残すことがあります。呼吸器の病変が長引いた場合には、慢性の細気管支炎による呼吸障害を引き起こすことがあります。

中毒性表皮壊死症を疑って医療機関を受診する時に、必要なことはありますか?

中毒性表皮壊死症を疑って医療機関を受診する時には、保険証や診察券の他に、薬の説明書や「お薬手帳」を忘れずに持参してください。お子さんでは今までの感染症の既往やワクチン接種歴も必要な場合がありますので「母子手帳」も持参して頂くと参考になります。

医療機関では診療中にどのようなことを尋ねるのですか?

受診時の症状により、医師や看護師が下記のようなことをお尋ねします。
・どのような薬をのみましたか?(正確な薬の名前が必要です)
・健康食品あるいはサプリメントなどをのんでいませんか?
・いつからのみましたか?
・最近、坐薬などを使用しましたか?
・最近、ワクチン接種をうけましたか?
・どのような症状(発熱、のどの痛み、眼の充血、皮膚の斑点など)がいつからでましたか?
・今まで同じような症状がでたことはありますか?
・C型肝炎や腎臓の病気などに罹っていませんか?


情報提供者
研究班名重症多形滲出性紅斑に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日令和3年9月(名簿更新:令和5年6月)