TNF受容体関連周期性症候群(指定難病108)

TNFじゅようたいかんれんしゅうきせいしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

どんな病気ですか?

炎症 や免疫反応に於いて重要な役割をはたす物質の一つである腫瘍 壊死 因子(Tumor necrosis factor:TNF)の刺激を細胞の中に伝える役割をする受容体(1型TNF受容体:TNFR1)の異常を原因とする病気です。発熱・筋痛・関節痛・発疹・目の周りのむくみや結膜炎・腹痛などの症状を伴い、3日から数週間に及ぶ比較的長期間の発作を繰り返すのが特徴です。

診断には遺伝子検査が必要ですか?

TNF受容体関連周期性症候群(TNF receptor-associated periodic syndrome :TRAPS)の診断には遺伝子検査が不可欠です。まずは特徴的な症状の組み合わせや繰り返す発作によりTRAPSが疑われるかどうかを見極め、遺伝子検査でTNFR1に特定の異常が確認されればTRAPSと診断されます。症状や一般検査結果が似ていても、TNFR1に異常が無い場合や、疾患とは関係の無い 変異 のみが認められる場合にはTRAPSとは診断できません。遺伝子検査の解釈にはこの疾患を良く知る専門家の判断が必要です。

全身型特発性若年性関節炎と診断されていますが、TRAPSの可能性はありますか?

全身型特発性若年性関節炎も稀な疾患ではありますが、それでもTRAPSに比べれば頻度の高い病気です。症状のみでは区別がつかない場合があるのは事実ですが、実際にTRAPSである事は極めて稀です。

病気は遺伝しますか?

常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す病気です。両親のいずれかがこの病気である場合、その間に生まれた子供が同じ病気を発症する確率は1/2となります。但し、遺伝子変異があっても必ず病気になるとは限らず、同じ遺伝子変異を持った兄弟姉妹の間で発病したりしなかったりする場合もあります。

治療法は?

残念ながらTRAPSに対する根治療法は存在しません。発作の重症度と頻度を総合的に判断して、まずは解熱鎮痛剤やステロイドによる治療を行う事となります。
発作が軽症で頻度も低い場合は一般的な解熱鎮痛剤のみで対応可能な場合もありますが、一般的には発作早期に中等量のステロイドを使用し、症状をみながら7-10日間で減量中止する方法が提示されています。
発作が重症・頻回でステロイドの減量・中止が困難な症例に対しては、抗IL-1製剤(カナキヌマブ)の治療が本邦では認可されています。

 

情報提供者
研究班名 自己炎症性疾患とその類縁疾患における、移行期医療を含めた診療体制整備、患者登録推進、全国疫学調査に基づく診療ガイドライン構築に関する研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)