リンパ脈管筋腫症(LAM)(指定難病89)

りんぱみゃくかんきんしゅしょう(LAM)

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■「治療」に関して 1

気胸になった時の処置法について教えてください。
気胸の治療には2つの目標があります。第一は、迅速に達成しなければならない目標、つまり肺と胸壁との間の空間(胸腔)に貯まった空気を取り除き、肺を再 びふくらますことです。第二の目標は気胸の再発を予防することです。これらの目標は治療法の選択の際に熟考されなければなりません。以下、一般的な状況パ ターンと判断の目安を記載しますが、実際には患者さん毎に担当医が判断することになります。

(1) 気胸の程度による判断
a. 軽いものは観察のみ
b. 脱気をする
c. 外来管理用の小型胸腔ドレーンを挿入する
d. 入院管理の胸腔ドレーンを挿入する

(2) 気胸は片側か、それとも両側か
a. 片側は気胸の程度に応じて上記 (1)のどれか
b. 両側同時は両側にドレーンを入れて手術へ

(3) 初めての気胸か、それとも再発か
a. 初回は非手術的治療が主体であるが、リーク(空気漏れ)がとまらない場合は手術
b. 再発は手術を考える
ホルモン療法について教えて下さい。効果はあるのでしょうか?副作用にはどのようなものがありますか?
はじめにお話しておかなければならないのは、現時点ではホルモン療法がLAMの治療法として有効であるとのエビデンスはなく、確立した治療法ではないとい う事実です。もちろん、呼吸機能の悪化にブレーキをかける効果があったという報告がある一方、治療の有効性に疑問があるとの報告もあります。どのような効 果が得られれば有効と判断するか、すなわち「有効性」の定義に関しても意見の違いがあります。また、ホルモン療法が気胸の再発防止あるいは発生防止に有効 であるとのエビデンスもありません。現実的には、「何らかの治療をしないとLAMが進行して呼吸機能が低下してしまうと予想されるような方に、効果が現れ ることを期待して行っている」のが実情です。
ホルモン療法は、女性ホルモンであるエストロゲンそのものを低下させるか、あるいはエストロゲンと拮抗する働きのあるプロゲステロンを薬剤として投与する ことにより、閉経のような状態を作り維持することです。エストロゲンを低下させるには、腹腔鏡手術などで外科的に卵巣を摘出するか、あるいはゴナドトロピ ン放出ホルモン誘導体のような薬剤をもちいて内科的に卵巣機能を停止させる、のどちらかがよく用いられます。プロゲステロン製剤を用いる場合には、内服製 剤より筋注製剤のほうがプロゲステロン血中濃度が安定して維持されるという理由から、欧米では酢酸メドロキシプロゲステロンを月1回筋注する方法が多いよ うです。しかし、日本では販売されてないので、代わりにカプロン酸ヒドロキシプロゲステロンを2週間毎に筋注する方法が用いられているようです。LAMの 進行度は患者さんにより様々ですので、肺機能が年余にわたって安定している方ではホルモン治療の必要はないと考えられます。しかし、肺機能検査で FEV1(1秒量)やFEV1/FVC(1秒率)、拡散能などが経時的に低下していく患者さんではホルモン治療を考慮します。ホルモン療法は、効果のある 患者さん(肺機能が少し改善する、肺機能の低下スピードが治療開始前よりゆっくりとなる等)もあれば、効果のない患者さん(肺機能の低下スピードが遅くな らない)もあるようです。ホルモン療法開始前に治療効果を予測できるような指標もないため、効果は行ってみないと何とも言えないのが実状です。現状では LAMそのものに対する治療法としてはホルモン療法しかないので、肺機能が悪化する場合には担当医とよく相談してホルモン治療を行うかどうか決めて下さ い。
副作用としてはいわゆる更年期症状があります。特別な問題を感じない方もいますが、顔のほてり、発汗、冷え、動悸、いらいら、不眠、頭痛、不安感、等々の 更年期症状を感じる方もいます。程度も期間も患者さんにより異なります。症状がひどい場合には漢方薬、自律神経調整薬、安定剤などを内服し症状の軽減に努 めます。他には閉経により骨粗鬆症になりやすくなりますので、定期的に骨塩量を測定し、低下するようなら骨粗鬆症の治療薬を内服します。血液中のコレステ ロールや中性脂肪が増加し動脈硬化が起こりやすくなる場合もありますので定期的な血液検査が望まれます。ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体による内科的な 卵巣機能停止療法の場合には使用する薬剤によりますが、糖尿病のような糖代謝の異常が見られる場合もあるようです。
病院や医師により、6 ヶ月でホルモン治療が適用外になるケースが地方に住んでいる患者から聞かれます。呼吸器学会などを通じて、LAM への理解、治療のアドバイス(LAM にはホルモン治療が不可欠である)など情報を流したりする医療関係者への啓蒙活動はしていただけないのでしょうか?
現在の医療は保険診療となっています。保険で認められない場合はその費用は病院の負担となってしまいます。LAM と言う稀な病気の病名では、通常の治療薬でも保険適応とされてない場合があります。主治医の先生が良いと思って処方しても保険を審査する委員会がどう判断 するかが問題です。保険適応は全国的に決められていても、地域で判断が異なる場台が確かにあります。大学や専門病院では認められているものが開業医の先生 では認められない事もあります。
卵巣、子宮を摘出する基準を教えて下さい。また、摘出したことにより更年期障害などの副作用について教えて下さい。
LAM の治療のために、すぐに卵巣を摘出することは考えません。過去には、第一選択の治療として行われた時期もあります。しかし、現在では月1 回の注射をすれば、安定して女性ホルモンを低下させ、卵巣を摘出した時と同じ状態にすることができます。従って、もはや、まず最初に考える治療で はありません。内科的に長期間閉経状態にしてLAMが安定している場合には、患者さんとよく相談して、患者さんが希望されれば卵巣を摘出することもありえ ます。一般に、LAMの治療のために子宮を摘出することはありません。
今現在スピリーバという吸入剤を使用されている場合の効果について教えて下さい。残念ながらこの吸入剤が合わなかったのですが、また新たな吸入剤が開発されているのでしょうか?
スピリーバがとても良かった人も結構いますが、効かなかった人も確かにいます。スピリーバは長時間作動型の抗コリン剤の吸入 薬です。気管支を拡張させる薬としては、作用機序が異なりますが、ベーター2 刺激剤と言う薬もよく使われます。その長時間作動型の吸入薬がセレベントと言う薬です。現状では患者様に使っていただいて効果を確認しそれぞれの患者様に 合えば続ければ良いと思います。
ホルモン療法をしています。大豆製品の摂取、イソフラボン、コラーゲンなどのサプリメントは避けた方が良いのでしょうか?
健康食品ブームで大豆製品、イソフラボン、コラーゲンなどのサプリメントが注目を集めてますが、LAMとの関わりについての データはありません。大豆製品中には女性ホルモン様作用をもつ物質が含まれていることが知られていますが、これをも LAMにとって悪影響があるかどうかのデータはありません。一般的な考え方として、何事も過量にならないよう注意するべきだと思います。サプリメントはあ くまでも、「補助食品」であり、主食ではありません。「過ぎたるは及ばざるが如し」です。LAM と診断される前に極端に多くの大豆製品を摂取していたのであれば、すこし控えてみてはいかがでしょうか?反対に、もう全く食べない、とまで決意する必要も ないと思います。
気胸に対し、癒着療法が向かないと診断された場合、他にどんな治療法がありますか?
肺の状態が悪すぎて、肺が膨らまないのでしょうか?肺と胸壁の間に距離があると薬を入れても無着は困難です。手術や胸腔鏡下の治療もありますが、患者様の状態によって異なりますので主治医の先生とご相談下さい。
腹水の症状があっても、両肺の癒着治療をしている場合、胸水の症状は出にくいのでしょうか。それとも癒着治療済みかどうかは無関係なのでしょうか。腹水の症状が出る場合と、胸水の症状が出る場合の違いや関連性を教えて下さい。
LAM患者さんで乳糜(にゅうび)が漏れる場合には、乳糜胸水だけ、乳糜腹水だけ、乳糜胸水と腹水の両方を合併しているなど 個人差があります。胸と腹のしきりとなっている横隔膜の筋繊維の隙間から乳糜が胸腔に漏れていく場合があります。あるいは横隔膜にはリンパ管もあり、 LAMに伴うリンパ管新生により胸腔と腹腔がリンパ管を介してつながってしまう場合もあります。胸膜癒着術をしてあれば、理屈の上では、癒着により胸腔が 閉じているので腹腔から漏れてくることはないでしょう。また、胸管から新たに漏れてくることもないでしょう。
乳糜(にゅうび)胸水があり、癒着をしました。それによって、他に乳糜がまわることがあるのでしょうか?
癒着をしたために、他の部位から乳糜が漏れる、という因果関係のある出現の仕方はないと思います。癒着をすることにより、今 まで漏れていた乳糜は何らかの別ルートをたどって循環血液中にもどらねばなりません。乳糜は、胸、お腹に溜まったり、喀痰、尿に出たり、子宮からも出てく ることがあるようですが、癒着をしたために、これらの別の部位から漏れが始まることはないと思います。すでに、複数箇所の乳糜の漏れがある方、たとえば、 乳糜腹水と胸水が一緒にある場合には、胸膜癒着を行うと腹水が増えることもあるようです。
在宅酸素療法を始める基準を教えて下さい。
「呼吸機能障害のため動脈血ガス(特にO2とCO2)が異常値を示し、そのために正常な機能を営めない状態であり、室内気呼吸時の動脈血酸素分圧PaO2が 60Torr以下となる呼吸器系の機能障害、またはそれに相当する状態」は、呼吸不全と定義されます。十分な薬物療法を行っても1ヶ月以上呼吸不全状態が 持続する場合には在宅酸素療法が適応となります。学会での適応基準と、保険適用基準は若干異なります。すなわち、保険適用基準の中で高度慢性呼吸不全例の 対象患者は、PaO2<55Torrの者、およびPaO2<60Torr以下で睡眠時または運動時に著しい低酸素血症を来す者で、医師が在宅酸素療法を必要と認めた者、となります。
歩いている時などは酸素をした方が良い、座っている時は酸素をしなくて良いという判断基準を教えて下さい。
酸素投与の目標はPaO2≧60Torr(SpO2≧90%)を維持することです。安静時にはこの条件を 満たしても、歩行などの労作時にはPaO2(あるいはSpO2)が低下し、PaO2<60Torr(SpO2<90%)となってしまう方がいます。労作時に酸素を吸入することにより、より強い労作や長時間の労作が可能となり、運動耐容能が改善します。しかし、長期的効果はよくわかっていません。
眼鏡タイプ、胸からでるものもあるようですが酸素カニューラ(カヌラ)の種類を教えて下さい。
業者によっては柔らかいものがあるようですが、自分で選べるのでしょうか? 眼鏡タイプ(帝人、他のメーカー)、リザーバー付きカヌラ、等あり、選択できるカヌラはプロバイダーにより異なります。
入院中や業者から提供される酸素カニューラ(カヌラ)の頻度が気になるのですが、どの位の頻度で変えれば良いのでしょうか?衛生面から考えると一週間に一、二度と考えますが。
在宅の場合は一ヶ月から一ヶ月半に交換(メーカ推奨)、あとは患者様の訴えにより(カヌラが堅くなる等)交換。
このお金は保険料に入っています。
外見、経済的理由により、在宅酸素療法を受け入れない人がいます。その場合のリスクを教えて下さい。
慢性的な低酸素血症による臓器障害(心不全、肺高血圧、大脳高次機能障害)などが現れ、 生命予後に影響する可能性があります。
呼吸リハビリテーションについて教えてください。
呼吸リハビリテーションは、慢性呼吸器疾患により低肺機能となって日常生活に何らかの支障をきたすようになった患者さんがより良い日常生活を送れるように するための治療法です。原因となっている病気そのものに対する治療ではありませんが、呼吸困難などの自覚症状の改善や、運動耐用能の向上、生活の質 (QOL)の向上、精神面の安定などの効果があることが知られています。呼吸リハビリテーションの内容としては、呼吸法の練習、ストレッチによる柔軟性の 改善、呼吸筋トレーニング、全身持久力トレーニング、筋力トレーニング、感染予防や栄養管理などに関する指導、等々が含まれます。
GOLDガイドラインといわれる世界的規模の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診療・管理・治療に関するガイドラインでは、中等症~重症のCOPD患者(1 秒率(FEV1/FVC)<70%、%FEV1<80%の患者さん)には呼吸リハビリテーションを行うよう勧めていますが、呼吸リハビリテーションプログ ラムの内容は施設によって多少の違いがありますし、人手と時間を要する治療プログラムなため、特定の医院や専門病院でしか提供されていないのが実状です。 呼吸リハビリテーションの対象疾患はCOPDに限られたものではありませんが、リハビリテーションの方法や効果に関する研究は主にCOPD患者さんを対象 として行われてきました。
肺機能障害の進行したLAM患者さんも呼吸リハビリテーションの対象となると思いますが、LAM患者さんで呼吸リハビリテーションを行いどのような結果が 得られたか、COPD患者さんと同じ内容のプログラムでよいか、COPD患者さんで認められるような呼吸運動パターンの異常や骨格筋障害が存在するのか、 LAMの病期のどのくらいの時点から開始したらよいのか、等々についての研究はなく、わかっていないのが実状です。したがって、現時点では、COPD患者 に対して行われているプログラムや適応基準をLAM患者にも当てはめて、肺機能障害が進行した方や肺移植待機中の患者さんが移植に備えて呼吸リハビリテー ションを受けているのが実情と思われます。
乳糜(にゅうび)が溜まる人はリハビリテーションができないのでしょうか?できる場合は、どんな運動ができますか?
できないわけではないと思いますが、状況に適したリハビリを考える必要があるでしょう。乳糜腹水の貯留している人では下肢の 運動は下肢からのリンパ流量を増やし、腹部膨満感を悪化させるおそれがあります。一方、上肢や上半身を使ったリハビリでは、症状の悪化はしにくいでしょ う。状況は乳糜胸水の貯留した患者さんでも同様ですが、胸膜癒着をして胸水のコントロールができている人では、注意深く観察 しながら下肢の運動量を上げていくことができるでしょう。運動療法以外の呼吸リハビリ(リラクゼーションや呼吸法の習熟など)は、乳糜胸腹水の有無にかか わらず、できると思います。
肺移植について教えてください。
肺移植の対象となるのは、移植以外に有効な治療法がなく、このままでは長くは生きられないと医学的に判断され、患者さん自身が肺移植とその後の生活について十分理解しており、家族などの周囲の協力が期待できる場合です。
肺移植には脳死の方から臓器を提供していただく脳死肺移植、2名の生体ドナー(家族や配偶者)から左右の肺の一部を摘出して患者さんに移植する生体肺葉移 植、の2種類があります。脳死肺移植には、患者さんの片方の肺だけ摘出しドナー肺を移植する片肺移植(従って、反対側には疾患肺が残ります)、両方の疾患 肺を摘出してドナー肺を左右とも移植する両肺移植、さらに心臓と肺をブロックとして一緒に移植する心肺移植があります。
脳死肺移植の場合には、肺移植が必要となった原因の病気によって、片肺移植、両肺移植、心肺移植のどれになるか決定されます。LAMの場合は、通常、片肺 移植が適応となり、右肺移植になるか左肺移植になるかについては患者さんの状況に左右されます。このように、患者さんの希望ではなく、医学的な見地からど の移植をおこなうか決定されます。生体肺葉移植の場合は、脳死ドナーの出現を待つ必要がありませんが、ドナーとなる方のリスクと肺機能低下が問題となりま す。従って、生体肺葉移植は、ドナーとなりうる方からの自発的・積極的な提供の意思がある場合に限り成り立つ治療法です。
日本で脳死臓器提供者から肺移植を実施できる施設は東北大学、京都大学、大阪大学、岡山大学の4施設だけでしたが、最近は他に千葉大学、獨協医科大学、長 崎大学、福岡大学の4施設が追加され合計8施設となりました。肺移植を希望する場合には、8施設のうちのどれかに担当医から紹介して貰う必要があります。 患者さん自身の希望に応じて8施設から移植施設を選択できますが、移植間近になると移植施設に入院あるいは近くに住まねばならないことを考えると、自宅か ら近い施設に移植を御願いするのが現実的であると思われます。肺移植実施施設では、紹介を受けると肺移植が本当に必要とされる患者さんであるかどうかを審 査するため、必要な検査結果や情報の提供を担当医に求めます。この際、不足する検査は担当医の施設で実施する場合も、肺移植実施施設に短期入院して行う場 合もあります。審査は肺移植実施施設内肺移植適応検討会(地区肺移植適応検討会)で行われますが、検討会で肺移植の適応が認められると、その後は中央肺移 植適応検討委員会に肺移植適応検討の申請をすることになります。肺移植実施8施設のどこに紹介して貰っても、最終的には中央肺移植適応検討委員会で審査さ れ、公平性が保たれます。中央肺移植適応検討委員会での審査は約1カ月位の期間が必要で、肺移植の適応が認められると、日本臓器移植ネットワークに登録さ れ、待機患者として登録されます。肺移植実施施設に紹介してから肺移植待機患者として登録されるまでに数ヶ月が必要となります。地区肺移植適応検討会、中 央肺移植適応検討委員会、の各々に肺移植適応の評価を依頼する際にはインフォームドコンセントが必要で、肺移植実施施設から肺移植に関する詳しい説明をう けたのち、「十分に情報を得た上でなされた同意」を表明しなければなりません。
(過去の患者の会での勉強会の内容です。最新情報は各自ご確認下さい。)
脳死肺移植待機から生体肺移植を勧められる基準がありましたら教えて下さい。
生体肺移植の利点は長い期間待機する必要がないこと、欠点は臓器提供者に対するリスク(1%以下と考えれます)と臓器提供者 の肺機能の低下(肺活量で 15~20%程度の低下がありますが、日常生活に差し支えることは通常ありません)です。この欠点のため、脳死下の臓器提供が待てない(間に合わない)可 能性が大きいと判断される場合に、生体肺移植が行われることが一般的です。どの時点で生体肺移植に踏み切るべきかに関しては、なかなか数字のようなもので 表される基準はありません。主治医の先生、移植施設の医師やコーディネーターと相談しながら、最終的には御本人と御家族で判断していただくことになりま す。生体肺移植には、血液型が一致(A→Aなど)または適合(O型→A型など)する二人の臓器提供者が必要で、体格のマッチングの基準(患者様より体格の 大きな臓器提供者の方が理想的です)もあります。体格のマッチングには、はっきりとした基準がありますので、詳しくは、移植施設の医師またはコーディネー ターに御相談下さい。
海外では、片肺ではなく、両肺移植が勧められているようですが、その理由を教えて下さい。また、日本ではどのように考えているのか教えて下さい。
または、患者本人が選択できるのでしょうか?
LAM に関しては,当初片肺移植を受けた方に移植肺への再発が見られたため、両側肺移植が勧められたのではないかと思います。しかし、両側肺移植や生体肺移植 (両側)を受けられた患者様の中にも再発は報告されています。LAM は肺のみではなく腹部をはじめとする全身の組織を病気の場とする疾患であることがわかってきています。この意味では、片肺だから再発する、両肺は再発しな いということは必ずしもないのではないかと思っています。
片肺移植がよいか両側肺移植がよいかを決定するには二つの要素があります。一つは言うまでもなく患者様の病状の要素です。例えば、両側の胸膜癒着術が行わ れていて、癒着剥離に伴う大量出血が予測される場合には片肺移植が有利でしょうし、逆に多量の乳糜(にゅうび)痰があるような場合には、片肺移植では乳糜 痰が移植肺へ入ってしまうことが予想されるので両側肺移植がよいと思われます。このように、片肺、両肺どちらの術式がよいかは、患者様の病状を総合して判 断されることになります。
術式を決めるもう一つの要素は、社会的な問題です。片肺移植であれば、一人の臓器提供者からいただいた肺を二人の患者様に移植することが可能です。両側肺 移植であれば、移植を受けることのできる患者様はお一人です。この観点から、片肺移植、両肺移植どちらでも差し支えない、と判断される患者様には、片肺で 登録していただくことをお願いしています。
患者様御本人が選択できるかどうかというご質問にお答えするのはなかなか難しいのですが、基本的には、上記のような医学的、社会的要素を勘案して移植医が適する術式をお勧めしているのが一般的です。
医療や保険制度の違いもあると思いますが、海外では移植後2~3週間で患者さんは退院すると読みました。その理由を教えて下さい。また、日本ではなぜそうしないのか教えて下さ い。
退院の時期は、患者様の術前の状態、移植手術および術後の状態によって決まります。移植後 2~3 週間で退院できる患者さんの多くは、術前の状態がよく、人工心肺を用いず手術ができた方だと思われます。実際、欧米では、人工心肺を用いずに肺移植を行え る場合が、全体の 70~80%を占めるとされています。日本では、人工心肺を用いずに手術できた方は、全体の10~20%程度ではないかと思います。大雑把に言ってしまえ ば、欧米では軽症の、日本では重症の患者さんに多く移植を行っていると言えると思います。これが、日本の方が入院期間が長い理由の一つと思われます。もう 一つの理由は、米国などでは、退院しても移植施設のすぐ近くに住んで、連日リハビリに通院する、といった場合が多いことです。3 ヶ月位は地元へ帰らず、移植施設のすぐそばに滞在する場合も多いと聞きます。
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研究班名難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班
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情報更新日令和元年6月