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ウィーバー症候群(指定難病175)

うぃーばーしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
ウィーバー(Weaver)症候群は、出生前からの過成長、特徴的な顔貌、骨年齢促進、軽度~中等度の発達の遅れを呈する症候群である。ほかに、大頭症、低い泣き声、小顎症、臍帯ヘルニア、指・四肢関節伸展・拘縮,余剰皮膚、細く粗な毛髪などの多彩な症状を呈する。
 
2.原因
常染色体優性遺伝様式であるが、ほとんどが孤発例である。ヒストンメチル基転移酵素histone methyltranseferaseをコードするEZH2遺伝子の異常により発症する。
 
3.症状
出生前からの過成長、眼間開離を伴う特徴的な顔貌、骨年齢促進、軽度~中等度の発達の遅れを呈する症候群である。ほかに、短頭を伴う大頭症、低い泣き声、小顎症、顎と下唇の間に水平な皺、臍帯ヘルニア、四肢関節伸展・拘縮・弯曲,余剰皮膚、細く粗な毛髪などの症状を呈する。
 
4.治療法
対症療法が主となり、屈指、関節拘縮、側弯については整形外科学的治療を行う。発達の遅れについては理学・作業・言語療法を行う。てんかんに対しては必要に応じて薬物療法を行い、心疾患に対しては必要に応じて手術や薬物療法を行う。
 
5.予後
主に難治性てんかんの併存・合併する心疾患により生命予後が左右される。
 
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
100人未満
2.  発病の機構
不明
3.  効果的な治療方法
未確立(本質的な治療法はない。種々の合併症に対する対症療法)
4.  長期の療養
必要(発症後生涯継続又は潜在する。)
5.  診断基準
あり(学会により承認された診断基準有り。)
6.  重症度分類
1.小児例(18歳未満)
小児慢性特定疾病の状態の程度に準ずる。
2.成人例
1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
1)難治性てんかんの場合。
2)先天性心疾患があり、中等症以上に該当する場合。
3)気管切開、非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)、人工呼吸器使用の場合。
 
○ 情報提供元
「国際標準に立脚した奇形症候群領域の診療指針に関する学際的・網羅的検討」
研究代表者 慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター 教授 小崎健次郎
「小児慢性特定疾患の登録・管理・解析・情報提供に関する研究」
研究代表者 国立成育医療研究センター 病院長 松井陽 
 
 
 
<診断基準>
確定診断例と臨床診断例を対象とする。
 
原因遺伝子(EZH2遺伝子等)に変異を認めればウィーバー症候群と診断が確定する。変異を認めない場合もあり、乳・幼児期より下記の1~4全ての症状があれば臨床診断される。
 
I.主要臨床症状
1.過成長
2.骨年齢の進行
3.平坦な後頭、眼裂斜下、大きな耳、長い鼻中を含む特徴的な顔貌(ソトス症候群とは異なり、長頭ではなく短頭である。)
4.精神発達遅滞
 
 
 
 
<重症度分類>
1.小児例(18歳未満)
小児慢性特定疾病の状態の程度に準ずる。
 
2.成人例
1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
 
1)難治性てんかんの場合:主な抗てんかん薬2~3種類以上の単剤あるいは多剤併用で、かつ十分量で、2年以上治療しても、発作が1年以上抑制されず日常生活に支障をきたす状態(日本神経学会による定義)。
 
2)先天性心疾患があり、薬物治療・手術によってもNYHA分類でII度以上に該当する場合。
NYHA分類

 

I度

心疾患はあるが身体活動に制限はない。
日常的な身体活動では疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは
狭心痛(胸痛)を生じない。

II度

軽度から中等度の身体活動の制限がある。安静時又は軽労作時には無症状。
日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)で疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは狭心痛(胸痛)を生ずる 。

III度

高度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。
日常労作のうち、軽労作(例えば、平地歩行など)で疲労、動悸、呼吸困難、失神あるいは狭心痛(胸痛)を生ずる。

IV度

心疾患のためいかなる身体活動も制限される。
心不全症状や狭心痛(胸痛)が安静時にも存在する。
わずかな身体活動でこれらが増悪する。

NYHA: New York Heart Association
 
NYHA分類については、以下の指標を参考に判断することとする。

NYHA分類

身体活動能力
(Specific Activity Scale; SAS)

最大酸素摂取量
(peakVO2

I

6METs以上

基準値の80%以上

II

3.5~5.9METs

基準値の60~80%

III

2~3.4METs

基準値の40~60%

IV

1~1.9METs以下

施行不能あるいは
基準値の40%未満

 
※NYHA分類に厳密に対応するSASはないが、
「室内歩行2METs、通常歩行3.5METs、ラジオ体操・ストレッチ体操4METs、速歩5~6METs、階段6~7METs」をおおよその目安として分類した。
3)気管切開、非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)、人工呼吸器使用の場合。
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

本疾患の関連資料・リンク

小児慢性特定疾病情報センター
http://www.shouman.jp/details/13_1_6.html


治験情報の検索:国立保健医療科学院
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情報提供者
研究班名 先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究班
研究班名簿   
情報更新日平成29年4月24日