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モワット・ウィルソン症候群(指定難病178)

もわっとうぃるそんしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 「モワット・ウイルソン症候群」とはどのような病気ですか

1998年に初めてモワットとウイルソンらにより、1)重度知的障害、2)特徴的顔貌、3)小頭症と4)ヒルシュスプルング病(巨大結腸症)が共通に見られる症候群として学術誌(J Med Genet)に報告されました。その後、本症候群は、報告者の名前から「モワット・ウイルソン症候群」と呼ばれるようになりました。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

本症候群の「難治性疾患克服研究事業」の疫学調査から、全国に1000~1500人ほどの患者さんが推測されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

男女ともほぼ同数ですがやや男性に多い傾向があります。ほとんどは出生時より症状が見られます。

4. この病気の原因はわかっているのですか

2番染色体の長腕にあるZEB2(別名、SIP1、ZFHX1B)遺伝子の片側(両親から伝わった2つのZEB2遺伝子の中のどちらか1つ)から、正常の機能をもつZEB2タンパク質が作られなくなる遺伝子変異(機能喪失性変異:ナンセンス変異、フレームシフト変異や遺伝子欠失)が病因です。

5. この病気は遺伝するのですか

本症候群は、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式を示す疾患です。対になっている二つの遺伝子の片方の変異が原因です。通常は患者さんのご両親のZEB2遺伝子には変異はなく、両親の配偶子(精子あるいは卵子)のどちらかのZEB2遺伝子に突然変異が起こり、患者さんが本症候群になったと考えられます。そのために患者さんの兄弟姉妹が同じ遺伝子の変異を持ち本症候群になる可能性は、生殖腺モザイクと言われる極めて例外的な場合を除いてありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

全ての患者さんに中等度から重度の知的障害と特徴的顔貌が見られます。後者は出生時から見られます。眼と眼の間が広い(眼間開離)、眉毛の内側が濃い、下顎の突出と前向きのぶ厚い耳朶などが特徴です。半数以上の患者さんにてんかん、小頭症、先天性心疾患が、約1/3の患者さんに脳梁の形成異常、ヒルシュスプルング病、頑固な便秘と尿道下裂などの腎泌尿器系の異常が見られます。成長障害のために身長や頭囲が対象年齢のそれらと比較して小さくなる場合があります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

先天性心疾患、ヒルシュスプルング病、尿道下裂などの合併症は外科的に治療を行います。てんかんには抗てんかん剤、バルプロ酸ナトリウム(VPA)が有効で、約半数はてんかんのコントロールが良好です。現在、知的障害を改善する治療法は見つかっていません。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

発達遅滞はありますが、大部分の患者さんは1人で歩けます。先天性心疾患、ヒルシュスプルング病、尿道下裂などの合併症の治療後は、急に寝たきりになるなど、症状が変化することはほとんどありません。現在40歳代の患者さんがおられますが、1人で歩行が可能です。すなわち、合併症に対して定期的な検診を受けていれば、成人になって急に悪化することはありません。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

ZEB2遺伝子の機能喪失型変異が見られる患者さんの精神運動発達やコミュニケーション能力には幅があります。子どもの発達に応じて理学療法、作業療法、言語療法などのハビリテーションを開始しましょう。独り歩きは平均すると4歳ごろに開始します。また、簡単な単語を話し、ご両親の会話をある程度理解できる患者さんがいます。
自己表出を促しコミュニケーションの成功体験を重ねるなどは、患者さんのQOL(生活の質)向上のため重要です。医師等と相談して、個々の発達に合わせ根気よく行うことが大切です。また、学齢期になると健康状態も比較的安定してくる患者さんでも、乳幼児期は病弱で、また合併症の検査や治療なども集中するため、医療機関、療育機関としっかり連携していきましょう。

10. この病気に関する資料・関連リンク

1)若松延昭、平木洋子:Mowat-Wilson症候群。別冊 日本臨牀 新領域別症候群シリーズNo.29「神経症候群IV―その他の神経疾患を含めてー(第2版)」, 613-616ページ, 2014.
 
2)モワット・ウィルソン症候群家族会
http://www7b.biglobe.ne.jp/~mws-fm/index.html


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情報提供者
研究班名 -  
新規掲載日平成27年8月31日