ギャロウェイ・モワト症候群(指定難病219)

ぎゃろうぇいもわとしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

病気はなぜ起こるのでしょうか?

からだの情報源である遺伝子(DNA)の変異により、腎臓や脳の構造が構築される発達過程に不具合がおこり、結果的に腎や神経の働きが低下すると考えられています。脳を構成する細胞はもともと多数の突起がネットワークを創る複雑な構造をしており、わずかな形や大きさの変化でも機能異常を起こしやすいという特徴があります。原因となる遺伝子はいくつか見つかっていて、我が国の患者さんではNUP133変異が一家系に見つかっていて常染色体性潜性遺伝(劣性遺伝)です。

遺伝するのでしょうか?

これまでの研究から、ご両親はともに健常保因者(疾患遺伝子を持っているが無症状)で、父方、母方からそれぞれ一つずつの疾患遺伝子を受け継ぎ、お子さんに発症すると考えられています(潜性遺伝(劣性遺伝)形式)。保因者のご両親から、お生まれになるお子様の、4人中の1人が、発症することになります。もうひとつの可能性として、ご両親には異常はなく、患者さんが生まれる過程で、遺伝子に変異がおこり、病気を起こす可能性があります(新生顕性遺伝(優性遺伝))。この場合は原則として、次子の再発はありません(次子ができないことが前提です)。詳しい説明は、遺伝カウンセリングが可能な医療機関でご相談されることをお勧めします。

どのように診断するのですか?

原因遺伝子はいくつか見つかっていますが、残念ながら診断に利用できるほど明確にはなっておらず、症状、血液・尿検査、脳画像検査、筋・腎生検組織などの臨床情報を総合し、診断することになります。将来、疾患遺伝子が明らかになれば、迅速で確実な診断ができるようになり、疾患マーカーを基にした簡易診断や、原因分子を軸にした臨床分類や予後予測も可能になると思われます。遺伝子診断を希望される場合は、研究班1にご相談ください。

有効な治療法はありますか?

現在は病因がはっきりしていないために、根本的な治療がないのが現状です。ネフローゼやてんかんに対して、対症療法を行います。また病状の進行する程度は、患者さんによってさまざまです。個々の患者さんの成長、発達段階に応じた対応が必要になりますので、主治医とご相談ください。今後の研究により、原因がわかれば、早期診断、病態に則した個別化治療、進行予防が可能になると考えられます。

 

情報提供者
研究班名 小児腎領域の希少・難治性疾患群の全国診療・研究体制の構築研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和6年1月(名簿更新:令和5年6月)