メニュー


HOME >> 病気の解説(一般利用者向け) >> 好酸球性消化管疾患(新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎)(指定難病98)

好酸球性消化管疾患(新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎)(指定難病98)

しんせいじ-にゅうじしょくもつたんぱくゆうはついちょうえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎とは

新生児期、乳児期に、ミルク、母乳をはじめとする原因となる食物をとりはじめてから、何度も吐く、血便が出る、体重が増えなくなる、下痢が長くつづくなどの症状が出る病気です。以前はほとんど知られていなかった病気なのですが、西暦2000年前後から急に増えてきました。診断がむつかしいので、なかなか原因がこの病気だと分からないことも多いのが現状です。
医学会で正式につけられた病名は、“新生児-乳児消化管アレルギー”と言いますが、よく見られる食物アレルギーとの混同を防ぐために、厚生労働省難治性疾患克服事業においては、“新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎”と呼ぶことにしています。
普通の食物アレルギーは、血液の食物IgE検査や皮膚テストで原因食物を特定しやすいのですが、この病気は、IgEが関係のない全く別の病気であり(図1)、原因を見つけるには、原因を一旦除去して症状が消えるのをみて、その後また食べてみて症状が再度出現するところを確認する方法が最も確実です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎は、年間2000名以上が発症しています。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

発症は乳児期のいつでも起こり得ますが、嘔吐と血便が同時に起きるタイプは、生まれてすぐのころに多いです。逆に嘔吐や血便はないけれど、体重が増えないタイプは乳児期全般に発症時期があります。特にこのような人が起こりやすいという特徴は今のところはっきりしていません。

4. この病気の原因はわかっているのですか?

原因の食物は、牛乳や乳製品、牛乳由来ミルクが、95%と最も多く、母乳が20%、米、大豆が10%、卵が数%、それ以外の食物は1%以下です(図2)。

原因を特定するのは、なかなかむつかしいこともあります。原因を取り除いても長いと数週間症状が消えないこともあります。原因を毎日摂取していても2週間程度無症状で、その後症状が出ることもめずらしくありません。これはこの病気が、即時型の食物アレルギーと全く違っていて、ゆっくりした反応である、非即時型の免疫反応によって起きるからです(図1)。
急に増えてきた原因ですが、これまではほとんどなかった病気が、急に増えたことを考えると、環境の要因が大きいと思いますが、いったい何が原因で増えているのかは、分かっておりません。

5. この病気は遺伝するのですか?

普通の食物アレルギーと違って、ご両親や兄弟にアレルギー体質があることは多くありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

特に多いのが、反復する嘔吐、赤い血便、体重が増えない、下痢などです。嘔吐と言えば、赤ちゃんはよく吐くわけですが、この病気では何度も強く吐くこと、体重が増えなくなることが特徴です。血便は赤い血液が、粘液と混じっています。
消化管は、食道から直腸まであるわけですが、どこに炎症を起こすかによって、この病気は大きく4つのグループに分けられるのではないかと考えられています。
グループ1;嘔吐と血便があるタイプ;広く消化管全体に炎症がある。生まれてすぐに(1-2週)で発症することが多い。
グループ2;嘔吐があり、血便はないタイプ;上部消化管に炎症がある。
グループ3;嘔吐なく、血便ないが、体重が増えないタイプ;広く消化管全体に炎症があるが、特に栄養吸収を行う小腸の障害が重要。
グループ4;嘔吐なく、血便があるタイプ。下部消化管の炎症が強い。このタイプの中でも、少量の血便持続のみで体重増加が良好な方は、緊急性は高くありません。

7. この病気にはどのような治療法がありますか?

原因と思われる食物を除去することで、症状が良くなります。牛乳由来ミルクが原因であれば、治療ミルク(高度加水分解乳やアミノ酸乳)や母乳で栄養を行うのがよいでしょう。米、大豆、卵などが原因の場合、離乳食が始まってから、症状を起こします。
体重減少が深刻な時は、消化管を休めて、“中心静脈栄養”を行う場合もあります。十分な栄養を行い、赤ちゃんの成長発達が遅れることのないようにしたいものです。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか?

診断治療がすみやかに行われ、長期にわたる適切な除去を行うことできれば、消化管の炎症は消失します。
診断自体がむつかしいことも少なくありません、診断が行われず、除去もできなければ炎症は続いてしまいます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

食物除去治療中は、6大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンAを多く含む野菜、ビタミンCを多く含む野菜)の十分な摂取と、特に欠乏しやすいカルシウム、鉄に気を付けてください。脂質は中年期以降、肥満を改善するために制限をする必要がありますが、小児期には脳の成長に非常に重要です。脳の機能を決める脳回路(インターネットのケーブルのようなもの)は、脂質からできています。その脂質の中でも特に良いのが、海洋生物に含まれるDHAやEPAです。

10. この病気に関する資料・関連リンク

http://nrichd.ncchd.go.jp/imal/FPIES/icho/index.html 本症の簡単な説明
http://nrichd.ncchd.go.jp/imal/FPIES/icho/pdf/fpies.pdf
上記サイト中の医師向け診断治療指針(簡単に書かれているので、保護者の方も読むことができます)。


治験情報の検索:国立保健医療科学院
※外部のサイトに飛びます。

情報提供者
研究班名 好酸球性消化管疾患、重症持続型の根本治療、多種食物同時除去療法の診療体制構築に関する研究班
研究班名簿   
情報更新日平成27年1月30日(研究班名簿:平成28年7月4日更新)