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再発性多発軟骨炎(指定難病55)

さいはつせいたはつなんこつえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「再発性多発軟骨炎(RP)」とはどのような病気ですか

骨とともに骨格を形作っている軟骨に原因不明の炎症が繰り返し起きる(再発性)疾患です。炎症が継続する場合には軟骨は変形・消失します。おかされる軟骨としては耳介軟骨が多く、次いで気道、眼、鼻、関節等が続きます。その炎症部位によって症状や重症度が定まってきます。気道軟骨炎は気道狭窄や閉塞をきたす可能性があり、さらに頻度は低いものの臓器の重要性によって心臓や脳の病変も生命を脅かす恐れがあります。変形・消失した軟骨は元には戻りません。そのため早期の診断・治療がとても重要となる希少疾患です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

研究班の調査では、日本全国で400~500人と推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

発症年齢は3歳から97歳まで多年齢層にわたりますが、多いのは40~69歳の年齢層です。男女比は約1:1です。

4. この病気の原因はわかっているのですか

分かっていません。

5. この病気は遺伝するのですか

遺伝はしないと考えられています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

炎症がおこる軟骨の部位によって症状が異なってきます。表1に代表的な症状をまとめました。
体表または体表に近い部位である耳介軟骨、鼻軟骨、眼球(結膜炎や強膜炎が中心)、皮膚(紅斑等)では当該部位が赤くはれ痛みを伴います。耳介および鼻軟骨炎が長引くと変形が見られるようになります。
蝸牛・前庭障害の症状は難聴、めまい、ふらつき、吐き気などが中心となります。
また、気道の炎症では気道が狭くなるために、ゼイゼイ、ヒュウヒュウという呼吸音に呼吸困難が伴います。
侵されることは多くはないのですが、心臓に病気が及んだ場合には心筋梗塞や弁膜症、中枢神経では脳梗塞や脳出血をきたすことがあり重症化します。
RPの診断基準では、おもにはこれらの症状がいくつあるかで診断が確定されます。代表的な診断基準を表2に示します。

表1 症状の頻度

耳介軟骨 78 %
蝸牛・前庭障害 27 %
鼻軟骨 39 %
気道 50 %
眼球 46 %
関節 39 %
皮膚 11 %
心臓 7.1 %
神経系 9.6 %
腎臓 6.7%
造血器 2.1%

表2 診断基準

マクアダムスの診断基準(McAdam’s Criteria、改変)
以下の3つ以上が陽性

  1. 両側の耳介軟骨の炎症
  2. 関節軟骨の炎症
  3. 鼻軟骨の炎症
  4. 眼球の炎症
  5. 気道軟骨の炎症
  6. 蝸牛あるいは前庭機能障害

生検(耳・鼻・気管から少量の組織を採取すること)の顕微鏡による診断が基本的には必要。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

おもには内科的治療が中心となります。中でもステロイド剤によって炎症の軽減を図ることが治療の中心的な役割をはたします。
耳介・鼻軟骨炎が中心の軽症例では非ステロイド抗炎症薬単独使用より開始し、効果不十分な場合には少量のステロイド剤を追加します。
炎症が強く呼吸器、眼、循環器、腎などの重要臓器に障害がある場合には、経口ステロイド剤の中等~大量が用いられます。さらに炎症が強い場合にはステロイド剤パルス療法も実施されます。
気道病変がある場合には、メソトレキサートという免疫抑制剤の併用が推奨されています。
また、気道病変が高度の場合には気管切開や、気管に合わせて筒状の物体を挿入しその強度の増強を図る「ステント療法」などの外科的治療が用いられることもあります。陽圧をかけられるマスクを使用するBIPAPという治療法もしばしば実施されます。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

上記の治療法で重症化する割合は減少してきています。
しかしながら、気道病変が重症化した場合にはそのコントロールは現在でもとても慎重に行なわれています。肺炎や呼吸不全にてなくなられる患者さんも散見されます。私たちのデータでは一割弱の方が、おもには肺炎や呼吸不全、少数の方が心筋梗塞や脳出血にてなくなられており、他の一割強の方は治療抵抗性を示しました。
対して7割強の方は治癒またはコントロール良好と判断されています。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

 炎症の部位によって注意点が異なってきますが、基本的には炎症をなるべく回避するということになります。気道病変の場合には、刺激に対する過敏性がとても高いことが指摘されています。気温・気圧・刺激物質の暴露といった外的環境の急激な変化や、風邪を含む呼吸器感染症の回避には細心の注意が必要となります。また、耳介・鼻軟骨炎や皮膚病変といった体表に近い部位での炎症は、物理的・化学的な擦過等の刺激にも注意を要します。注意という観点では心臓や中枢神経障害での予防には困難な点もありますが、中高年以上の方ではいわゆる生活習慣病の合併に対する警戒が必要になると思われます。

10. この病気に関する資料・関連リンク

聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター
http://nanchiken.jp/
再発性多発軟骨炎患者会ホームページ
http://horp-rp.com/index.php
全国膠原病友の会
http://www.kougen.org/
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)
http://www.nanbyo.jp/


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情報提供者
研究班名 軟骨炎症性疾患の診断と治療体系の確立研究班  
情報更新日 平成29年3月7日