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(16)免疫系分野先天性顆粒放出異常症(平成24年度)

せんてんせいかりゅうほうしゅついじょうしょう
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1. 概要

先天性顆粒放出異常症は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)や NK 細胞の顆粒放出の異常によりさまざまな臨床所見を呈する乳幼児の疾患で、家族性血球貪食性リンパ組織球症、Chediak-Higashi 症候群、Griscelli 症候群 type 2、Hermansky-Pudlak 症候群 type 2 や活性化シグナル伝達異常のX連鎖リンパ増殖症が含まれる。それぞれ遺伝子異常が同定されているが、一部の症例は遺伝子異常が不明である。予後は不良で長期生存例は各疾患特有の合併症もある。日本における実態とその診断および治療法は充分に確立されておらず、本疾患の病態解明と診断治療法の確立は小児医療の発展につながる。

2. 疫学

家族性血球貪食性リンパ組織球症は年間10例未満で、type 2 と type 3 がほとんどを占める。type 5 はまれで、約10%は遺伝子が同定されていない。Chediak-Higashi 症候群は年間1,2例で LYST 異常が約 1/3 で同定されている。X連鎖リンパ増殖症は年間数例で、SAP 異常による type 1 が XIAP 異常による type 2 より多い。Griscelli 症候群 type 2 とHermansky-Pudlak 症候群 type 2 は日本では報告されていない。

3. 原因

細胞傷害性Tリンパ球(CTL)や NK 細胞の顆粒放出に関わる遺伝子異常によって発症する。家族性血球貪食性リンパ組織球症は perforin (PRF1), MUNC13-4 (UNC13D), syntaxin 11 (STX11), MUNC18-2 (STXBP2) 遺伝子の異常が同定されており、それぞれ type 2, type 3, type 4, type 5 に分類される。Chediak-Higashi 症候群は LYST 異常のみが同定されている。X連鎖リンパ増殖症は SAPm XIAP 異常が同定され、それぞれ type 1, type 2 に分類される。

4. 症状

一部の症例では白皮症などの先天異常を合併するほか、その多くはウイルス感染の合併による感染症状、肝脾腫、肝機能障害、高サイトカイン血症、血球貪食、など多彩な症状を呈する。しかしこれらの症状は非特異的症状でありしばしば再燃を繰り返す。また重症のウイルス感染症、細菌・真菌感染症、免疫不全疾患、造血機能障害などと区別が難しい上、致死的な経過をたどることが多い。ほとんどの症例で造血幹細胞移植が必要であるが、移植なしでも長期生存例では肺や中枢神経合併症をきたしやすい。また特にChediak-Higashi 症候群 は悪性腫瘍を合併しやすい。

5. 合併症

 

6. 治療法

治療法は確立されたものはないが、重症例ではまずγグロブリン療法、血漿交換を行い、さらに抗サイトカイン療法としてステロイドや免疫抑制剤の使用を行い症状の沈静化を図る。一方、軽症・中等症ではステロイドや免疫抑制剤のみで寛解することが多い。しかしほとんどの症例では何らかの遺伝子異常が関与しており、最終的には造血幹細胞移植が必要となる。造血幹細胞移植は骨髄、臍帯血ともに有効であり、近年は骨髄非破壊的前処置が定着しつつある。

7. 研究班

先天性顆粒放出異常症の病態解明と診断法の確立班