メニュー


HOME >> 難治性疾患研究班情報(研究奨励分野) >> 膠様滴状角膜変性症(平成24年度)

(15)眼科疾患膠様滴状角膜変性症(平成24年度)

こうようてきじょうかくまくへんせいしょう
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

膠様滴状角膜変性症は10歳代に角膜上皮直下にアミロイド沈着が生じ著明な視力低下を来す常染色体劣性遺伝疾患として1914年に中泉によって初めて報告された。本疾患は世界的に見るとまれであるが、日本では比較的頻度が高く、本疾患の責任遺伝子であるTACSTD2遺伝子も日本人研究者によって同定された(Nat Genet, 1999)。原因遺伝子は解明されたものの、遺伝子変異から疾患表現型にいたるメカニズムについては不明である。またまれな疾患であるため、未だその疫学的記述や治療も含めた臨床的記述についても不十分な点が多い。

2. 疫学

本疾患は世界的に見ると極めてまれであるが、日本では31,546人に1人の発症率とされている。性差はない。患者の43%が近親婚の親に生まれており、日本の一般的な近親婚の比率である6.8%に比べ高い。

3. 原因

責任遺伝子はTACSTD2遺伝子であることが既に解明されており、この遺伝子両アリルの機能喪失によって疾患が生じ、片アリルだけが異常の場合には発症しない。本疾患では角膜上皮のバリア機能が著しく低下していることが判明している。また角膜上皮下に沈着するアミロイドはラクトフェリンが原因タンパクの主成分であることも判明しており、バリア機能が低下した角膜上皮を通って涙液が角膜内に侵入した結果であると推測される。しかしながらTACSTD2遺伝子の機能喪失がどのようなメカニズムで上皮バリア機能の低下を来すのか、あるいは涙液中では可溶性であるラクトフェリンが角膜中ではどのようなメカニズムで不溶性のアミロイド線維と変化するのかについては未だ不明である。

4. 症状

10歳代に角膜上皮直下にアミロイド沈着が生じる。進行性に経過し、アミロイド沈着は次第にその数、大きさを増しながら最終的に角膜全面を覆うため著明な視力低下を来す。臨床病型は4型(Typical mulberry type, Band keratopathy type, Stromal opacity type, Kumquat-like type)に分けられ、主に見られる病型はTypical mulberry typeとBand keratopathy typeである。

5. 合併症

進行例では角膜新生血管が見られる。また角膜移植術後に投与するステロイド剤による緑内障発症の頻度が高く、アミロイドの線維柱帯への沈着による影響ではないかと推測されている。

6. 治療法

アミロイド沈着による視力低下が進行してしまった場合には角膜移植術が適応となるが、再発性であること、ステロイド緑内障を来しやすいことなどを考慮し、通常可能な限り侵襲の少ない術式を選択する。アミロイド沈着が軽度または見られない場合にはソフトコンタクトレンズ装用が効果的であることが我々の予備検討で明らかになっている。

7. 研究班

膠様滴状角膜変性症の標準的治療レジメンの確立と新規治療法の創出に関する研究班