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(16) 免疫系疾患分野インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)欠損症(平成24年度)

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1. 概要

インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)欠損症は、2003年にPicardらによって初めて報告された疾患で、Toll様受容体(TLR)のシグナル伝達を担う分子IRAK4遺伝子の異常により生じる常染色体劣性遺伝形式の疾患である。IRAK4欠損症及び関連分子であるMyD88欠損症は、類似した表現型としてグラム陽性菌(特に肺炎球菌や黄色ブドウ球菌)による感染症が重症化(敗血症、細菌性髄膜炎)し、時に致死的となることが報告されている。

2. 疫学

2010年度に施行した全国症例調査によると国内の診断例は7症例である。

3. 原因

TLR あるいはIL-1受容体が刺激により活性化されると、アダプター分子である骨髄分化因子88(MyD88)が結合する。さらに、IRAK4、IRAK1またはIRAK2が連鎖的に会合し、IRAK4 はIRAK1またはIRAK2 をリン酸化し、以降下流のキナーゼカスケードの働きで転写因子NF-κB の活性化に至る。IRAK4 遺伝子の異常により、TLR およびIL-1受容体のシグナル伝達障害が起こり、自然免疫応答の低下と特にグラム陽性球菌に対する易感染性を示す。

4. 症状

出生後まもなくより膿瘍形成や重症細菌感染症を繰り返す。その多くはS. pneumoniae によるものであり、より頻度は落ちるがS. aureus によるものもある。稀に緑膿菌やサルモネラ菌などのグラム陰性菌による重症感染を呈することもあるが、寄生虫感染症、真菌感染症、ウイルス感染症が重症化する傾向にあるとの報告はない。出生後、臍帯脱落が遅延傾向を示すことが報告されており、同じく原発性免疫不全症の一種である白血球接着不全症と同様に早期診断の指標になりうると考えられる。

5. 合併症

上記の通り、細菌感染症の合併により、敗血症、細菌性髄膜炎等を合併し、時に致死的である。

6. 治療法

γ-グロブリンの補充療法および抗生剤の予防投与が行われる。また、7価肺炎球菌ワクチン接種が肺炎球菌の重症感染症罹患に対して有効である。本疾患の治療には、早期診断による感染対策が重要であるが、フローサイトメーターを使用した迅速診断法が開発されている。

7. 研究班

インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)欠損症の全国症例数把握及び早期診断スクリーニング・治療法開発に関する研究班