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クローン病(指定難病96)

くろーんびょう

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
本疾患は原因不明で、主として若年者にみられ、潰瘍や線維化を伴う肉芽腫性炎症性病変からなり、消化管のどの部位にも起こりうる。消化管以外(特に皮膚)にも病変が起こることがある。当初の報告では回腸末端を侵す(回腸末端炎)と記載されたが、その後口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に起こりうることがわかった。臨床像は病変の部位や範囲によって多彩である。発熱、栄養障害、貧血などの全身症状や関節炎、虹彩炎、肝障害などの全身性合併症が起こりうる。
 
2.原因
原因は不明。現在のところ遺伝的因子、環境因子(ウイルスや細菌などの微生物感染、腸内細菌叢の変化、食餌性抗原など)などが複雑に関与し、免疫系の異常反応が生じていると考えられている。
 
3.症状
腹痛、下痢、体重減少、発熱、肛門病変などがよくみられる症状である。ときに虫垂炎に類似の症状、腸閉塞、腸穿孔、大出血で発症する。また、腹部症状を欠き、肛門病変や発熱で発症することもある。腸管外合併症として貧血、末梢関節痛炎、強直性脊椎炎、口腔内アフタ、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)、虹彩炎、成長障害などがあり、長期経過例では腸管悪性腫瘍が問題となる。
 
4.治療法
本症を完治させる根本的な治療法は現時点ではない。治療の目的は病気の活動性をコントロールして寛解状態を維持し、患者のQOLを高めることである。そのために薬物療法、栄養療法、外科療法を組み合わせて、栄養状態を維持し、症状を抑え、炎症の再燃・再発を予防することにある。治療にあたっては患者にクローン病がどのような病気であるかを良く説明し、患者個々の社会的背景や環境を十分に考慮し、治療法を選択する。
(1)内科的治療
寛解導入療法…栄養療法(経腸栄養療法又は完全静脈栄養)又は薬物療法を行う。薬物療法としては軽症例では5-ASA製薬(メサラジン)、また、中等症以上では副腎皮質ステロイド薬が用いられる。難治例では抗TNFα受容体拮抗薬(レミケードまたはヒュミラ)が使用される。抗生剤(メトロニダゾール、シプロキサン)投与や血球成分除去療法が行われることもある。
寛解維持療法…在宅経腸栄養療法や5-ASA製薬(メサラジン)、また、ステロイド依存例では免疫調節薬がよく使用される。寛解導入に抗TNFα受容体拮抗薬(レミケードまたはヒュミラ)が使用された例では、
計画的維持投与が行われる。
痔瘻に対する治療…腸管病変に対する治療と併行して、抗菌薬の投与や、膿瘍に対する切開排膿、シートンドレナージなどの外科的処置が必要となることも多い。
 
(2)外科的治療
外科治療の目的は、愁訴の原因となる合併症に外科的処置を加え、患者のQOLを改善することにある。
・絶対的適応:腸閉塞、穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症、癌合併
・相対的適応:症状を伴う狭窄(内視鏡的拡張術が有効な場合もある)、膿瘍、内瘻、外瘻のほか発育障害や内科治療無効例、肛門周囲膿瘍、排膿の多い有痛性痔瘻など
 
5.予後
クローン病の手術率は発症後5年で33.3%、10年で70.8%と高く、さらに手術後の再手術率も5年で28%と高率であることから、再燃・再発予防が重要である。診断後10年の累積生存率は96.9%と生命予後は良好と考えられている。
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成24年度医療受給者証保持者数)
36,418人
2.発病の機構
不明
3.効果的な治療方法
未確立(根治療法なし。)
4.長期の療養
必要(手術率は発症後5年で33.3%、10年で70.8%と高く、さらに手術後の再手術率も5年で28%と高率)
5.診断基準
あり(現行の特定疾患治療研究事業の診断基準を研究班にて改訂)
6.重症度分類
IOIBDスコアを用いて2点以上を医療費助成の対象とする。
 
○ 情報提供元
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」
研究代表者 東邦大学医療センター佐倉病院内科 教授 鈴木康夫
 
 
 
<診断基準>
Definite(確診例)・Probable(疑診例)を対象とする。
 
(1)主要所見
A.縦走潰瘍<注1>
B.敷石像
C.非乾酪性類上皮細胞肉芽腫<注2>
(2)副所見
a.消化管の広範囲に認める不整形~類円形潰瘍またはアフタ<注3>
b.特徴的な肛門病変<注4>
c.特徴的な胃•十二指腸病変<注5>
 
診断のカテゴリー
Definite(確診例):
[1]主要所見のA又はBを有するもの。<注6>
[2]主要所見のCと副所見のa又はbを有するもの。
[3]副所見のa、b、c全てを有するもの。
 
Probable(疑診例):
[1]主要所見のCと副所見のcを有するもの。
[2]主要所見A又はBを有するが潰瘍性大腸炎や腸型ベーチェット病、単純性潰瘍、虚血性腸病変と鑑別できないもの。
[3]主要所見のCのみを有するもの。<注7>
[4]副所見のいずれか2つ又は1つのみを有するもの。
 
<注1> 小腸の場合は、腸間膜付着側に好発する。
<注2> 連続切片作成により診断率が向上する。消化管に精通した病理医の判定が望ましい。
<注3> 典型的には縦列するが、縦列しない場合もある。
また、3か月以上恒存することが必要である。
また、腸結核、腸型ベーチェット病、単純性潰瘍、NSAIDs潰瘍、感染性腸炎の除外が必要である。
<注4> 裂肛、cavitating ulcer、痔瘻、肛門周囲膿瘍、浮腫状皮垂など。Crohn病肛門病変肉眼所見アトラスを参照し、クローン病に精通した肛門病専門医による診断が望ましい。
<注5> 竹の節状外観、ノッチ様陥凹など。クローン病に精通した専門医の診断が望ましい。
<注6> 縦走潰瘍のみの場合、虚血性腸病変や潰瘍性大腸炎を除外することが必要である。敷石像のみの場合、虚血性腸病変を除外することが必要である。
<注7> 腸結核などの肉芽腫を有する炎症性疾患を除外することが必要である。
 
 
<重症度分類>
クローン病 IOIBDスコア
1項目1点とし、2点以上を医療費助成の対象とする。
 
(1)腹痛
(2)1日6回以上の下痢あるいは粘血便
(3)肛門部病変
(4)瘻孔
(5)その他の合併症(ぶどう膜炎、虹彩炎、口内炎、関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)、深部静脈血栓症等)
(6)腹部腫瘤
(7)体重減少
(8) 38℃以上の発熱
(9)腹部圧痛
(10)ヘモグロビン10g/dL以下
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 


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情報提供者
研究班名 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班
研究班名簿  研究班ホームページ 
情報更新日平成29年4月24日