大理石骨病(指定難病326)

だいりせきこつびょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.大理石骨病とは

破骨細胞という骨を溶かす役割をする細胞の機能が障害され、全身の骨がびまん性に硬くなる病気です。臨床症状は重症なものから軽症まで極めて多彩で、重症型(新生児型・乳児型)、中間型、遅発型などに大別され、それぞれの治療や 予後 は大きく異なります。骨は硬いにも関わらずしなやかさを失い、結果的に骨折しやすくなります。また、骨折の治癒は遅れます。未熟な骨が骨髄を埋めるため骨髄の機能が悪くなったり、頭の骨が厚くなることにより脳神経が圧迫されることがあります。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

本邦で実施された全国調査では、10万出生に約0.6人の頻度とされています。日本整形外科学会の骨系統疾患全国調査では、1990年から2021年までの32年間に110例の登録があります。

3.この病気はどのような人に多いのですか

軽症の遅発型では、家族に同じ病気の方がおられる場合があります。重症型は新生児期や乳児期に、中間型は小児期に症状が出現して気がつかれることがあります。

4.この病気の原因はわかっているのですか

破骨細胞の形成や機能に関与する10種類以上の遺伝子の変異が報告されています。骨の吸収が障害されるため相対的に骨が過剰に硬くなります。

5.この病気は遺伝するのですか

親のどちらかが同じ病気で遺伝(顕性遺伝(優性遺伝))することもありますし、健常な両親から遺伝する(潜性遺伝(劣性遺伝))場合もあります。一般的に潜性遺伝(劣性遺伝)では、顕性遺伝(優性遺伝)の場合よりも早期より発症して重症となる傾向があります。親からの遺伝ではなくて、遺伝子が突然変異して病気になる場合もあります。

6.この病気ではどのような症状がおきますか

重症型では貧血、出血傾向、感染しやすいなどの骨髄機能不全症状や著しい成長障害、脳神経障害、水頭症、低カルシウム血症などが早期より発症し、長期生存できない場合もあります。中間型では小児期の骨折や骨髄炎、歯の異常などの症状が、遅発型では成人になってから骨折や骨髄炎、顔面神経麻痺などの症状が出現します。

7.この病気にはどのような治療法がありますか

重症型では骨髄移植、 造血幹細胞 移植(提供された骨髄や臍帯血等を患者さんに移植する治療法)などが試みられることがありますが、確立された治療法はありません。出現する症状に対する対症療法が中心となります。骨折に関しては、治り(骨癒合)が遅いこと、骨が硬すぎて手術が難しいことなどから、予防(骨折しないようにする)が重要となります。骨髄炎も治りにくく、長期間にわたり薬が必要となる場合があります。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか

重症型は乳幼児期に死亡することがあります。遅発型の寿命は正常ですが、骨折や骨髄炎に対する治療は長期にわたることがあります。また難聴で補聴器が必要になることもあります。上記のような合併症がなければ、通常の日常生活が過ごせる場合も少なくありません。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

骨折が日常生活において最も大きな問題となるため、通常よりも骨が弱く折れやすいということを充分に理解して、負担のかならない生活をするのが骨折の予防につながります。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

厚生労働科学研究班
https://www.osteochondrodysplasia.com
小児慢性特定疾病情報センター 大理石骨病
https://www.shouman.jp/disease/details/15_02_007/
調査報告書
 澤村健太、鬼頭浩史、金子浩史、岩田浩志、北村暁子、服部義. 骨硬化性疾患群に対する全国調査結果. 日整会誌 94(11):1071-1073, 2020

情報提供者
研究班名 先天性骨系統疾患の医療水準と患者QOLの向上を目的とした研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和5年6月)