プロピオン酸血症(指定難病245)

ぷろぴおんさんけつしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.(プロピオン酸血症)とはどのような病気ですか?

生まれつきプロピオニルCoAカルボキシラーゼという酵素の働きが無いか弱まっているために発症する病気です。プロピオニルCoAカルボキシラーゼは一部のアミノ酸やコレステロール、脂肪などから産生されるプロピオニルCoAをいう物質を分解する働きがあるので、この働きが低下するとプロピオニルCoAが細胞の中で必要以上に蓄積してしまいます。これにより体が酸性に傾くアシドーシスと呼ばれる状態になったり、全身の細胞の活動が障害されたりする常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患です。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

患者さんの数は約300人と概算されています。
新生児マススクリーニングの対象疾患となっており、生まれた赤ちゃん全員にこの疾患の有無が検査されています。これによると日本での罹患頻度は約45000人に一人となっていますが、基本的に症状を発症しない最軽症型が多く含まれており、アシドーシス発作のような重篤な症状を発症する症例は40万人に一人とされています。

3.この病気はどのような人に多いのですか?

常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患のため、発生しやすい人というものはありません。

4.この病気の原因はわかっているのですか?

生まれつきプロピオニルCoAカルボキシラーゼという酵素の働きが無いか弱まっているために発症します。

5.この病気は遺伝するのですか?

常染色体潜性(劣性)遺伝形式を取る疾患です。

6.この病気ではどのような症状がおきますか?

急性発症型と呼ばれる重症のタイプでは、呼吸障害、意識障害などの重篤な症状で急激に発症することがあり、重度のアシドーシス、高アンモニア血症といった代謝異常を示します。プロピオニルCoAの原料となるタンパク質の過剰がきっかけになることが多いので、ミルクを飲み始めたばかりの赤ちゃんや、発熱や嘔吐・下痢などの体調不良をきっかけにカラダの蛋白が壊れてしまう状況で急性に発作が生じることがあります。新生児マススクリーニングで検査を行なっていますが、重症例ではこの検査の前や結果が判明する前に症状が発生してしまう場合もあります。
慢性進行型と呼ばれるタイプでは、乳幼児期からの食欲不振や繰り返す嘔吐などが認められ、身体発育や精神運動発達の遅れをきたします。進行はゆっくりですが、感染などを契機に前述した急性発症型の症状がみられることもあります。
最軽症型は、上記の通り身体発育や精神運動発達に異常を認めず、アシドーシス発作も発症しないと考えられていますが、長期の観察はできておらず今後も引き続き検討していくことが必要です。

7.この病気にはどのような治療法がありますか?

治療は、症状により薬剤治療、特殊ミルクを用いた食事療法などの栄養管理、急性発作時の対応などによりなされます。生体肝移植実施例も報告されています。
いずれも専門的知識を要しますので、専門医や治療経験のある医師にご相談ください。

8.この病気はどういう経過をたどるのですか?

重症度や治療経過によって様々です。

9.この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

急性発作をきたさないとされる最軽症型の場合以外は、継続した治療、栄養管理に加え、発熱や下痢・嘔吐などでは急性発作をきたす可能性があるため、このような場合はお子さんの様子を注意深く観察し早めに医療機関に受診するなどの対応が必要です。主治医の先生の指導をよく守ってください。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症における生涯にわたる診療体制の整備に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和4年7月)