ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症(指定難病258)

がらくとーす1りんさんうりじるとらんすふぇらーぜけっそんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

この病気はどうやって見つかるのですか

この病気は新生児マススクリーニングの対象疾患となっています。生後数日に採血する代謝異常症検査で自動的に検査されます。

どのような症状をきたすのですか

新生児早期から、哺乳開始後、不機嫌、食欲不振、下痢、嘔吐などの消化器症状、体重増加不良、採血後の止血困難などがみられます。低血糖、尿細管障害、白内障、肝障害(黄疸、肝脾腫、肝逸脱酵素上昇など)をきたし、凝固系異常、溶血性貧血の所見を示すこともあり、また、血中のガラクトースが大腸菌発育を促進するため敗血症、髄膜炎などの感染症を併発しやすいとされています。これらの症状は乳糖除去により予防可能ですが、早期に発見され治療しても知能発達障害や神経症状、卵巣機能不全などの慢性期合併症を認めることがあり注意が必要です。

治療はいつから開始するのですか

新生児マススクリーニングでガラクトース、ガラクトース‐1-リン酸の異常値を認め、ボイトラー法が異常だった場合は、直ちに乳糖除去を行います。精査機関への受診を待たずに母乳や粉ミルクを中止し、乳糖除去ミルクか大豆乳に切り替えることもあります。

ガラクトースはどのような食べ物に含まれていますか

ミルクや乳製品に含まれています。発酵食品やスイカ、トマトなど一部の野菜なども比較的多くのガラクトースを含むので注意が必要です。

血中ガラクトース高値となる病気にはどのようなものがありますか?

ガラクトース‐1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症以外にも、ガラクトース代謝異常症であるガラクトキナーゼ欠損症、UDPガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症、ガラクトースムタロターゼ欠損症で異常が認められます。ガラクトキナーゼ欠損症とガラクトースムタロターゼ欠損症ではガラクトースの上昇が、またUDPガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症では、ガラクトース、ガラクトース‐1-リン酸両者の上昇がみられます。いずれもガラクトース‐1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症よりは軽症で、特にUDPガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症では治療のいらないものがほとんどです。その他のガラクトース高値をしめす疾患として、シトリン欠損症、門脈体循環シャントが比較的頻度の高いものとして知られています。

 

情報提供者
研究班名 新生児スクリーニング対象疾患等の先天代謝異常症の成人期にいたる診療体制構築と提供に関する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和5年6月)