脳表ヘモジデリン沈着症(指定難病122)

のうひょうへもじでりんちんちゃくしょう
 

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この病気の診断はどのようにするのですか。

頭のMRI検査を行うことが一般的です。特に、撮影をする際には、脳の表面に沈着したヘモジデリンを見やすくする画像が必要です。ほかの類似した病気である、脊髄小脳変性症などと間違えられている可能性もありますので、診断がはっきりされていない方は、主治医とよくご相談ください。

この病気になってしまったら、どういったことに気をつければいいですか。

多くの患者さんは難聴があるので、外出をするときなどには、接近する車の音などがわかりません。事故のおきないように注意をする必要があります。また、からだのふらつきのために、転びやすくなります。杖や車椅子などの使用も含めて、転倒による怪我に気をつけてください。食事や水分を飲み込みにくくなり、誤嚥による肺炎や、場合によっては窒息などを起こすこともあります。食事の形態や食事方法にも、主治医やリハビリテーション科の医師との相談が必要です。排尿障害が強い場合も、お薬による治療などが必要になります。

治療法がありますか

現在の段階では、根本的な治療法がありません。ただし、この病気の原因と考えられている持続的な出血を生じる腫瘍などがみつかった場合は、手術による治療を考える必要があります。また、止血剤の使用なども状況に応じて使用することが考えられます。難聴に対しては、人工内耳による治療が行われることがあります。病気は進行するものの、症状の悪化はゆっくりとしていることが多いので、リハビリテーションなどを積極的に行うことはとても重要です。

この病気は遺伝するのですか

現在は、遺伝する病気とは考えられていません。ただし、持続的な出血原因となる、何らかの脳腫瘍や血管奇形をきたす疾患の一部には、遺伝性のものもあります。

古典型と限局型との違いはなんですか

古典型は、大脳、小脳、脳幹、脊髄など広範に病変を認め、それに対応した症状が出現し、症状も徐々に進行します。限局型は大脳の一部に、ヘモジデリンが沈着するもので、背景には高齢者のアミロイド血管症(高齢者において脳の血管にアミロイドという物質が沈着して、血管の壁が弱くなり破れるもの)などがあることがあります。あきらかな症状がないことも多く、たまたま施行したMRIで偶然発見されることもあります。この場合は、臨床的に問題がなければ、定期的なMRI検査だけで経過をみることになります。

 

情報提供者
研究班名 運運動失調症の医療水準、患者QOLの向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和5年6月)