神経フェリチン症(指定難病121)

しんけいふぇりちんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

 

1. 「神経フェリチン症」とはどのような病気ですか

神経フェリチン症は、鉄を体のなかで運搬するフェリチンという蛋白を規定している遺伝子の一部(フェリチン軽鎖遺伝子)が 変異 することによって発症する神経疾患です。様々な症状を数十年にわたり認める疾患です。頭部MRIでは特徴的な所見を認めます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

きわめて稀な疾患で、報告例は世界的にみても100人に満たないと考えられていますが、診断がきちんとされていないことも考えられます。

3. この病気はどのような人に多いのですか

特定の人に多いということはありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

鉄を体のなかで運搬するフェリチンという蛋白を規定している遺伝子の一部(フェリチン軽鎖遺伝子)の変異により、異常なフェリチンが脳内に沈着することで発症します。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体顕性遺伝(優性遺伝) 性の疾患です。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

手の振るえ、体のバランスの悪さ、下肢の突っ張り、体が硬くなる、認知症などが、極めて長期間にわたり様々な程度で出現することが特徴です。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現在のところ根本的な治療法はなく、個々の症状に対しての治療を行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

ゆっくりと進行する疾患ではありますが、長期的には日常生活動作が高度に障害されることが考えられます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

様々な症状に対して、適切な治療や指示を主治医からうけることです。病状の進行により、日常生活動作が徐々に障害をされることが多いのですが、まずはリハビリテーションを日頃から行い、身体機能を維持することがとても重要になります。体がふらつくことにより、転倒なども珍しくありません。転倒をした時に、骨折や頭部外傷などを生じると、その後の生活に大きく影響をします。リハビリテーションに加え、杖の使用、車椅子の使用など、状態に応じて適切な対応ができるよう、主治医との相談が重要です。排尿障害に関しても、尿路感染の原因などにもなりますので、主治医と相談をし、必要に応じて泌尿器などへの紹介をしてもらってください。病状が進行すると、 嚥下障害 、あるいは誤嚥による肺炎などのリスクも上昇します。食事の形態などにも病状に応じた注意が必要です。感染症予防のために、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなども可能な限り、接種をされたほうがよいと考えます。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

11. この病気に関する資料・関連リンク

The NBIA Disorders Association
http://www.nbiadisorders.org/ (英語)
 
GeneReviews® [Internet]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1141/ (英語)

 

情報提供者
研究班名 神経変性疾患領域における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)