プラダー・ウィリ症候群(指定難病193)

ぷらだーうぃりしょうこうぐん
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

次の子どももプラダー・ウィリ症候群になることはありますか。

プラダー・ウィリ症候群には、基本的に遺伝性はありません。極めて稀に、ロバートソン転座などの核型異常、ならびにインプリンティング領域内のSNORD116を含みインプリンティングセンターを含まない極微細欠失、ホスト遺伝子(SNRPN/SNRUF)の遺伝子内変異、ホスト遺伝子とSNRD116の連続性を破壊する染色体異常については同胞発症がありえます。正確な遺伝学的診断を行うことで、遺伝性の有無が判定できますので、可能な限り 遺伝子診断 ならびに 遺伝カウンセリング を受けることが推奨されます。

FISH法で異常なしと言われました。プラダー・ウィリ症候群ではないのでしょうか。

FISH法で診断できるのは欠失型のみです。欠失型は全体の約70%と多いですが、すべてではありません。欠失がない場合は、片親性ダイソミーもしくは刷り込み変異の可能性があり、診断のためにはDNAメチル化テストが必要です。また、通常のFISH検査では検出されない微細欠失や、極めて稀にアンジェルマン症候群の欠失型がプラダー・ウィリ症候群と誤診されていたということもあります。ここで、保険適用されているDNAメチル化テストは、微細欠失以外のプラダー・ウィリ症候群を同定できることから診断上もっとも有用であり、これを第一選択として推奨します。

乳児期にプラダー・ウィリ症候群と診断されました。いまのところ肥満はなく、むしろやせています。これから肥満になるのでしょうか。

プラダー・ウィリ症候群では3歳過ぎから食欲の亢進が目立ってきます。なにもしなければ、必ず肥満になると考えた方がよいでしょう。しかし、適切な食事や栄養管理を行えば、肥満になることを防ぐことができます。必ず、専門家と相談して、栄養管理について学んでください。

成長ホルモン療法は受けた方がよいでしょうか。

プラダー・ウィリ症候群に対する成長ホルモン療法では、身長を伸ばす効果にくわえて、脂肪過多の体から筋肉質の体へ変える体組成変化の効果が重要です。健康保険診療の対象となるのは低身長の基準(正常小児の -2 SD以下)を満たす方だけで、全員が成長ホルモン療法を受けられる訳ではありませんが、低身長の基準を満たす方は成長ホルモン療法を受けることが望ましいと考えられます。対象になるかどうか、いつから始めるかは、専門医とよく相談してください。

 

情報提供者
研究班名 性分化・性成熟異常を伴う内分泌症候群(プラダーウイリ症候群・ヌーナン症候群を含む)の診療水準向上を目指す調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年12月(名簿更新:令和4年7月)