エマヌエル症候群(指定難病204)

えまぬえるしょうこうぐん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

どの程度まで運動機能が得られるのでしょうか?

欧米の報告によると、83%の患者さんはハイハイをすることはできませんでしたが、71%の患者さんでは補助をすると歩くことができ、その平均年齢は5歳でした。しかし、18ヶ月から10年と個人差はかなりありますので、あせらず歩行訓練をおこなうことは大切だと思われます。

転座は自分たちの親から受け継いだのですか?エマヌエル症候群となったのは、自分たちに原因がありますか?

転座保因者は無症状ですので、ご両親やさらに前の世代のいずれかで突然生じた転座が、代々受け継がれたのかもしれませんし、患者さんのご両親のいずれかで突然生じたのかもしれません。この転座はすべての人が持っている特殊な遺伝暗号が原因となっていると考えられていますので、妊娠前や妊娠中に何かをしたから転座が生じたわけではなく、ある一定の確率で生じる生理的なできごとです。
転座保因者から生まれるエマヌエル症候群のお子様も、同様に妊娠前や妊娠中に何かをしたからなどというわけではなく、細胞分裂の時に染色体がどのように分かれるかという生理的なできごとです。むしろ、47本の染色体を持ちながら生まれてくることができたということは、母体環境が良かったのかもしれませんし、生命力にあふれたお子様であるということでしょう。

転座保因者の子供は全員、エマヌエル症候群になりますか?

全員ではありません。カップルのどちらかが11番と22番の転座保因者の場合の妊娠について、保因者の性別により若干異なりますが、流産が30%程度、健康な転座保因者が55%、健康な正常核型が39%、出生児がエマヌエル症候群となるのが6%ほどです。心配がある場合は、臨床遺伝専門医のもとで遺伝カウンセリングを受け、ご相談下さい。

患者には幼いきょうだいがいますが、保因者かどうか心配です。検査ができますか?

検査をすることは技術的にはできます。しかし、幼少時に保因者であることを知ることで得られる医学的なメリットはないと考えられます。遺伝情報はご本人のものですので、成人された際に、本人の意思で検査をするかどうかを決定されるのが良いとされています。

最近話題になっている遺伝子治療で治すことはできませんか。

現時点では、効果があることが想定できるような遺伝子治療はありません。しかし、最近の遺伝子などを取り扱う技術の発展の進歩は目覚ましいものがありますので、将来はよい治療法が開発されるかもしれません。

周りに同じ病気の人がいないので、どう育てたら良いか不安です。

確かに稀な疾患ですが、日本には数十名の患者さんがいます。患者さんをかかえるご家族が、年に1度、11月22日に『エマヌエル症候群の日』というオンライン交流会を開催していますので、参加されてみてはいかがでしょうか?

  • t(11;22)
    http://www.fujita-hu.ac.jp/~genome/11&22

  • 情報提供者
    研究班名患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築班
    研究班名簿 
    情報更新日令和5年1月(名簿更新:令和5年6月)