家族性地中海熱(指定難病266)

かぞくせいちちゅうかいねつ

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)は、炎症経路のひとつであるインフラマソームの働きを抑えるパイリンの異常で発症する自己炎症性疾患である。発作性の発熱や随伴症状として漿膜炎による激しい疼痛を特徴とする。
 
2.原因
MEFV遺伝子が疾患関連遺伝子として知られているが、その発症メカニズムは明らかになっていない。また、浸透率が高くないことや典型的な家族性地中海熱の症状を呈しながらもMEFV遺伝子に疾患関連変異を認めない症例が少なくないことから、発症には他の因子も関与していると考えられている。
 
3.症状
典型例では突然高熱を認め、半日から3日間持続する。発熱間隔は、4週間毎が多い。随伴症状として漿膜炎による激しい腹痛や胸背部痛を訴える。胸痛によって呼吸が浅くなる。また、関節炎や丹毒様皮疹を伴うことがある。非典型例は、発熱期間が1~2週間のことが多く、上肢の関節症状などを伴いやすい。検査所見は、発作時にCRP、血清アミロイドAの著明高値を認め、間歇期にこれらは劇的に陰性化する。
 
4.治療法
根治療法はなく、副腎皮質ステロイド薬は無効であり、発作の抑制にはコルヒチンが約90%以上の症例で奏効する。コルヒチンの無効例では高IL-1療法(カナキヌマブ)やTNFα阻害剤(インフリキシマブ、エタネルセプト)、サリドマイドなどが有効であると報告されている。
 
5.予後
無治療で炎症が反復するとアミロイドーシスを合併することがある。
 
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
約300人
2.  発病の機構
不明(疾患関連遺伝子:MEFV遺伝子)
3.  効果的な治療方法
未確立(コルヒチンの投与で寛解状態が得られるが、継続的な治療が必要。コルヒチン無効例もある。)
4.  長期の療養
必要
5.  診断基準
あり(研究班作成の診断基準あり。)
6.  重症度分類
下記の(1)、(2)のいずれかを満たした場合は重症例とし助成対象とする。
(1)コルヒチンが無効又は不耐であり、かつ発熱発作頻回例
(2)アミロイドーシス合併例
 
○ 情報提供元
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」
研究代表者 京都大学大学院医学研究科発達小児科 教授 平家俊男
 
 
<診断基準>
臨床的家族性地中海(FMF)典型例、又は遺伝子解析によるFMF診断例を対象とし、FMF非典型例は対象としない。
 
診断方法
以下にてFMFの診断を行う
1.臨床所見
①    必須項目:12時間から72時間続く38度以上の発熱を3回以上繰り返す。発熱時には、CRPや血清アミロイドA(SAA)などの炎症検査所見の著明な上昇を認める。発作間歇期にはこれらが消失する。
②    補助項目
ⅰ)発熱時の随伴症状として、以下のいずれかを認める。
a.非限局性の腹膜炎による腹痛
b.胸膜炎による胸背部痛
c.関節炎
d.心膜炎
e.精巣漿膜炎
f.髄膜炎による頭痛
ⅱ)コルヒチンの予防内服によって発作が消失あるいは軽減する。
 
2.MEFV遺伝子解析
1)           臨床所見で必須項目と、補助項目のいずれか1項目以上を認める場合に、臨床的にFMF典型例と診断する。
2)           繰り返す発熱のみ、あるいは補助項目のどれか1項目以上を有するなど、非典型的症状を示す症例については、MEFV遺伝子の解析を行い、以下の場合にFMFあるいはFMF非典型例と診断する。
a)       Exon10の変異(M694I、M680I、M694V、V726A)(ヘテロの変異を含む)を認めた場合には、FMFと診断する。
b)       Exon10以外の変異(E84K、E148Q、L110P-E148Q、P369S-R408Q、R202Q、G304R、S503C)(ヘテロの変異を含む)を認め、コルヒチンの診断的投与で反応があった場合には、FMF非典型例とする。
c)       変異がないが、コルヒチンの診断的投与で反応があった場合には、FMF非典型例とする。
 
 
 
<重症度分類>
 
下記の(1)、(2)のいずれかを満たした場合は重症例とし助成対象とする。
 
(1)コルヒチンが無効又は不耐であり、かつ発熱発作頻回例
 
(発熱発作頻回例の定義)
当該疾病が原因となるCRP上昇を伴う38.0℃以上の発熱を発熱発作とする。
その際には感染症やその他の原因による発熱を除外すること。
発作と発作の間には少なくとも24時間以上の無発熱期間があるものとし、それを満たさない場合は一連の発作と考える。
上記の定義による発熱発作を年4回以上認める場合を発熱発作頻回例とする。
(コルヒチンが無効の定義)
コルヒチンを最大容量(0.04mg/kg/day、上限 2.0mg/day)まで増量しても
発熱発作が年4回以上認める場合をコルヒチン無効とする。
(コルヒチンの不耐の定義)
コルヒチンの副作用によるアレルギー反応又は消化器症状(腹痛、嘔気、下痢)のために
コルヒチンが増量できず、発熱発作が年4回以上認める場合をコルヒチン不耐とする。
 
(2)アミロイドーシス合併例
当該疾病が原因となり、アミロイドーシスを合併した例。
 
 
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
 

 

本疾患の関連資料・リンク

自己炎症性疾患サイト
http://aid.kazusa.or.jp/2013/disease/fmf


情報提供者
研究班名自己炎症性疾患とその類縁疾患の全国診療体制整備、重症度分類、診療ガイドライン確立に関する研究班
研究班名簿 
情報更新日令和元年6月