抗糸球体基底膜腎炎(指定難病221)

こうしきゅうたいきていまくじんえん

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

○ 概要
 
1.概要
血清中又は腎糸球体に抗糸球体基底膜抗体を認め、典型例では腎糸球体に急速かつ激烈な炎症がおこり、数週から数か月間の経過で腎機能が急速に低下する急速進行性糸球体腎炎症候群を呈する。肺出血を合併する場合もあり、腎予後、生命予後とも不良で維持透析へ移行しない場合も慢性腎不全としての管理加療を要することが大半である。腎疾患の中でも最も予後が悪く、治療にも難渋することが多い。
 
2.原因
何らかの機序で、糸球体基底膜の4型コラーゲンに対する自己抗体(抗糸球体基底膜抗体)が産生され、糸球体基底膜に沈着することで、免疫学的機序を介しておこるものと考えられている。腎糸球体の特徴的な病理像は、ボウマン腔に形成される半月体(クレッセント)と呼ばれる構造の出現である。これにより本来の糸球体の血流が妨げられ糸球体における血液ろ過が急速に低下し腎機能が悪化する。半月体の形成機序は不明である。
 
3.症状
自覚症状としては、全身倦怠感、微熱などの不特定な症状。検査所見としては、血尿+たんぱく尿、腎機能の急速な低下(血清クレアチニンの急速な上昇)、貧血、などである。腎臓以外の全身症状として、肺胞出血がみられることがある。
 
4.治療法
ステロイド(経口、点滴パルス)、免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビンなど)、抗体除去のための血漿交換ないし血液吸着療法など。完全な原因除去でなく、免疫抑制療法による、長期的な疾患コントロールが行われる経過中の免疫抑制薬等による維持治療が必須で、長期の療養が必要である。腎不全が進行した場合には透析療法が必要になる。治療を開始した場合には、重篤な感染症が合併する危険性も高く、それが原因で死亡することもある。
 
5.予後
2年間での死亡率9.9%、腎不全による維持透析への移行率(腎死率)73.9%である。維持透析に至らなくとも、大半の患者で慢性腎不全としての管理加療を要する。
 
 
○ 要件の判定に必要な事項
1.  患者数
約200~400人
2.  発病の機構
不明(自己抗体の関与が指摘されている。)
3.  効果的な治療方法
未確立(対症療法のみである。)
4.  長期の療養
必要(長期の免疫療法や腎不全の進行による透析療法を行う必要がある。)
5.  診断基準
あり(日本腎臓学会と研究班が共同で作成した基準あり。)
6.  重症度分類
時期に応じて、初期治療時及び再発時用と維持治療時用を用い、いずれも重症を対象とする。
 
○情報提供元
「進行性腎障害に関する調査研究班」
研究代表者 新潟大学医歯学総合研究科 腎・膠原病内科学 教授 成田一衛
 
日本腎臓学会
 
 
 
 
<診断基準>
Definiteを対象とする。
 
1.抗糸球体基底膜腎炎の確定診断(Definite)
1)   血尿(多くは顕微鏡的血尿、稀に肉眼的血尿)、蛋白尿、円柱尿などの腎炎性尿所見を認める。
2)   血清抗糸球体基底膜抗体が陽性である。
3)   腎生検で糸球体係蹄壁に沿った線状の免疫グロブリンの沈着と壊死性半月体形成性糸球体腎炎を認める。
 
上記の1)及び2)又は1)及び3)を認める場合には「抗糸球体基底膜腎炎」と診断する。
 
 
<重症度分類>
以下のいずれかを満たす場合を対象とする。
ア)CKD重症度分類ヒートマップで赤に該当するものとする。
イ)いずれの腎機能であっても蛋白尿0.5g/日以上のものは、重症として扱う。
ウ)当該疾患が原因である肺出血を呈する場合。
 
 
CKD重症度分類ヒートマップで赤の部分を対象とする。

※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする。

本疾患の関連資料・リンク

社団法人日本腎臓学会ホームページ 「エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群診療ガイドライン2014」
http://www.jsn.or.jp/guideline/guideline.php


情報提供者
研究班名難治性腎障害に関する調査研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日令和2年8月