下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症(指定難病76)

かすいたいせいごなどとろぴんぶんぴつこうしんしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1. 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症とは

ゴナドトロピンとよばれる黄体化ホルモン(LH、Luteinizing Hormone)と卵胞刺激ホルモン(FSH、Follicle-stimulating Hormone)の二つのホルモンは、下垂体前葉の同一細胞より分泌されます。ゴナドトロピンの生合成や放出は、視床下部において産生され下垂体門脈を介して下垂体に作用するゴナドトロピン分泌刺激ホルモン(LHRH)によって調節されています。性発育に伴ってゴナドトロピンの分泌は増加し、加齢に伴って低下します。女性では性周期に伴って変化します。
下垂体性ゴナドトロピン分泌 亢進 症は、視床下部や下垂体の障害により、同年齢の正常人に比較して、ゴナドトロピンが過剰に分泌される病気です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

令和元年度の下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症(成人)の医療受給者証保持数は38人とされています。また平成5年度の研究班全国調査では小児の中枢性早熟症は181例が報告されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

ゴナドトロピン産生腫瘍の男女比は2:1、中枢性早熟症の男女比は1:7.2とされています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

下垂体や視床下部に存在する腫瘍において産生されるゴナドトロピン(LH、FSH、hCG)やLH-RHによりゴナドトロピン分泌過剰症が生じます。
小児におけるゴナドトロピン(LH、FSH)分泌過剰症の代表は中枢性性早熟症(思春期早発症)です。奇形腫による絨毛性ゴナドトロピン(hCG)産生、 過誤腫 によるLH-RH産生、胚芽腫や神経膠腫による思春期発現抑制機構の障害などが性早熟症の原因です。水頭症、脳炎、髄膜炎などの非腫瘍性中枢神経疾患においても性早熟が生じます。基礎疾患のない特発性の症例もあります。

5. この病気は遺伝するのですか

大部分は遺伝とは無関係です。思春期早発症の一部でGPR54KISS1受容体)活性型変異、MKRN3変異の報告があります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

ゴナドトロピン分泌過剰症における症状として、男性では精巣腫大が見られ、女性では月経異常や卵巣腫大(卵巣過剰刺激症候群)および男性化が見られることがあります。下垂体腫瘍による局所症状(頭痛、嘔気、視野障害など)や下垂体機能低下症を示すこともあります。
小児におけるゴナドトロピン分泌過剰症の男児では9歳以前に、女児では7歳以前に二次性徴が発現します。思春期の徴候が出現すると、身長増加が促進され正常児より高身長を示します。下垂体腫瘍が存在すると頭痛、嘔気、視野障害などを生じることがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍が見られる症例では、外科的な腫瘍切除が行われます。下垂体腫瘍の圧迫により下垂体機能低下症(副腎機能低下症や甲状腺機能低下症)を合併している場合には、これらのホルモン補充療法を行います。
小児におけるゴナドトロピン分泌過剰症に対しては、LH-RH誘導体の投与が性成熟の進行を迅速に抑制し、副作用のないことで優れています。効果はLH-RHによる血清LH、FSH値の低下による血中性ステロイドホルモン産生の低下で判定します。LH-RH誘導体の投与は1日3~6回鼻腔内に噴霧するか4週に一回皮下に注射します。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

ゴナドトロピン産生腫瘍では外科的手術により改善が得られ、日常生活には支障がないことが多いです。小児における中枢性性早熟症では、治癒は少なく3分の2が軽快、3分の1は不変であり、日常生活には支障がないことが多いです。

9. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

10. この病気に関する資料・関連リンク

日本内分泌学会 間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)(厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業.間脳下垂体機能障害に関する調査研究班)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrine/95/S.May/95_1/_pdf/-char/ja

 

情報提供者
研究班名 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班
研究班名簿 
情報更新日 令和4年3月(名簿更新:令和4年7月)