好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)

こうさんきゅうせいたはつけっかんえんせいにくげしゅしょう
 

(概要、臨床調査個人票の一覧は、こちらにあります。)

1.「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」とはどのような病気ですか

気管支喘息など閉塞性気道障害やアレルギー性鼻炎(多くは鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎)をもっている患者さんで、白血球の一種である好酸球が異常に増加して、体の様々な場所の細い血管に 炎症血管炎 )を起こし、血液の流れが悪くなって種々の臓器の障害を生じる病気です。早期に炎症をとる治療を行うことで血管炎が抑えられて、症状も改善しますが、 末梢神経 の障害によるしびれは長く残ることがあります。また、治療を弱めたり中止したりすると、しばしば再発しますので、慎重な観察が必要です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

日本で医療機関を受診し治療を受けている患者数は、およそ2000人、年間新規患者数は、約100人と推定されています。しかし令和元年度の衛生行政報告例(指定難病受給者証保持者)数は4,207例であり、実際の患者数は推定患者数よりも多いと思われます。

3. この病気はどのような人に多いのですか?

40~70歳に好発し、実際の患者の平均年齢は55歳くらいです。男女比は1:1.7でやや女性に多い病気です。アレルギー疾患(ほとんどが気管支喘息、鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎)を持っていて、その治療に難渋して 再燃 や再発を繰り返している患者さんに多く発症する傾向があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか?

原因は不明です。一時、ロイコトリエン拮抗薬を服用している患者に多いことから、この種の薬剤によって誘発される可能性が指摘されましたが、因果関係は証明されていません。白血球の一種である好中球に対する抗体(抗好中球細胞質抗体:MPO-ANCA)が約50%の患者にみられ、これが病因に関与している可能性が考えられています。

5. この病気は遺伝するのですか?

遺伝性の病気ではありませんが、病気の発症に影響する遺伝子の変異(遺伝子多型)が複数見つかっています。ANCAが陽性と陰性のEGPAでは遺伝的背景が異なることも知られています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか?

典型的な場合は、気管支喘息症状や慢性・好酸球性副鼻腔炎が悪化し、血液中の好酸球数が増え、その後に血管炎の症状が出現してきます。全身の血管の炎症によって体重減少、発熱などがしばしば見られます。血管炎による末梢神経障害によって手足のしびれや麻痺(動きが悪くなる)が多くの患者さんで見られます。その他、皮膚の血管炎による出血班(紫斑)などの皮膚症状、肺の病変による咳や血痰、心筋の障害による動悸や息苦しさなども見られることがあります。また、腸の血管炎による腹痛や消化管出血、脳や心臓の血管炎による脳出血・脳硬塞、心筋  梗塞 、などの 重篤 な合併症も起こることがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか?

一般的には副腎皮質ステロイドで治療します。プレドニゾロン30-60mg/日で治療を開始し、症状が改善したらゆっくり減らしていきます。一年間以上の長期にわたり治療する必要があります。早期に治療を中止すると、再発をきたしますので注意が必要です。また、脳・心臓・腸などの重要な臓器に病変がある場合には、しばしば免疫抑制薬のシクロホスファミド(エンドキサン®)を併用して治療します。さらに、2018年5月に抗IL-5抗体のメポリズマブ(ヌーカラ®)が 保険適用 になり、従来の一般的な治療で効果が不十分な患者さんに使用できるようになりました。また2010年1月からは、長く残存する末梢神経障害に対して、免疫グロブリン大量静注療法が保険適用になっています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか?

ほとんど(90%以上)の症例は、適切な治療によって軽快します。少数(10%未満)で、脳出血・脳硬塞や心筋梗塞、腸穿孔、重症腎炎を生じ、手足の麻痺や腎や心の機能低下腎を残すことがありますが、死亡に至るのは1%程度です。
一度軽快しても、治療を緩めると再発することがありますので、治療は長年続けることになります。しかし、ごく一部の症例では治療を中止できる可能性もあります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか?

副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬を使用中は、感染症に対する注意が最も重要です。帰宅時には、手洗い・うがいを欠かさずに実行してください。新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種も可能な限り受けましょう。規則正しい生活と食事を維持してください。ステロイドによる生活習慣病を防ぐためには、体重管理が重要です。ステロイド内服中は、定期的に緑内障・白内障を含む目のチェックを受けてください。骨密度も年に1度は測定してもらいましょう。主治医の指示に従って処方された薬剤をきちんと服用し、定期的に必要な検査を受けてください。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。 ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

アレルギー性肉芽腫性血管炎
チャーグ・ストラウス症候群

11. この病気に関する資料・関連リンク

(資料)
2015-2016年度合同研究班による血管炎症候群の診療ガイドライン (日本循環器学会が公開しているガイドライン。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症については65-71ページを参照)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2017_isobe_h.pdf
抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0466/G0001264
ANCA関連血管炎の診療ガイドライン2017
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0094/G0000931
市民公開講座「血管炎についてもっと知ろう:それぞれの病気の特徴と療養に役立つ知識」7)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 https://www.vas-mhlw.org/html/shiminkoukaikouza.html
ANCA関連血管炎.com
http://www.anca-aav.com/contents/hp0024/index.php?No=16&CNo=24
ヌーカラ医薬品情報
https://jp.gsk.com/jp/products/our-prescription-medicines/nucala/
(関連リンク)
日本リウマチ学会 疾患の解説を提供
日本薬学会 知っておきたい薬の常識等一般向けに役立つ情報を提供
日本薬剤師会 くすりに関する最新情報や過去の緊急安全性情報、副作用情報、くすりQ&A(薬局で買った薬の有効期限 他)等を提供

 

情報提供者
研究班名 難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究班
研究班名簿 研究班ホームページ
情報更新日 令和4年3月