消化器系分野|IgG4関連全身硬化性疾患(平成22年度)

IgG4かんれんぜんしんこうかせいしっかん
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1. 概要

IgG4関連全身硬化性疾患とは、リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著 しい浸潤を伴う線維化により、同時性あるいは異時性に全身各臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては中枢神経 系、涙腺・唾液腺、甲状腺、肺、胆管、胃、膵臓、肝臓、腎臓、前立腺、後腹膜腔、などが知られている。本邦より発信された新しい疾患として注目されてお り、IgG4関連膵炎としての「自己免疫性膵炎」や「IgG4関連硬化性胆管炎」では膵癌や胆管癌と誤診され、外科的手術や化学療法を受ける場合もある。 予後は不明であるが、ステロイド治療の有効なことが多い。

2. 疫学

年間受療患者数は約8,000人と推定される。

3. 原因

原因は不明であるが、自己抗体の存在、血中IgG4高値、IgG4陽性 形質細胞浸潤、ステロイドが有効などより、自己免疫性疾患の可能性が考えられている。疾患に多く認められる自己抗体、制御性T細胞の関与、疾患と相関する 遺伝子多型、モデル動物なども報告されており、原因も徐々に解明しつつある。

4. 症状

障害される臓器にもとづく症状を呈する。中でも肝・胆・膵病変における閉塞性黄疸、後腹膜病変における水腎症、肺病変における呼吸器症状など、時に重篤症状を呈することがある。

5. 合併症

肝・胆・膵病変における閉塞性黄疸、後腹膜病変における水腎症、肺病変における呼吸器症状、糖尿病など。

6. 治療法

ステロイド治療が中心であるが、難治例や再燃例では免疫抑制剤、抗B細胞抗体(リツキシマブ)も試みられている。

7. 研究班

IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班