整形外科疾患分野|EEC症候群(平成22年度)

EECしょうこうぐん
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1. 概要

裂手裂足(Ectrodactyly)・外胚葉異形成(Ectodermal dysplasia)・口唇口蓋裂(Cleft lip/palate)を3主徴とする多発奇形症候群。
常染色体優性遺伝 家族内の症状の差は大きく、遺伝的異質性あり。

2. 疫学

稀。50-100名。有病率は不明。

3. 原因

遺伝的異質性あり、現在まで、3つの原因座位が判明しており、そのう ち、原因遺伝子が同定されているのはEEC3(3q27)にマップするp63遺伝子のみである。 その他は不明。p63遺伝子は癌抑制遺伝子 p53遺伝子のホモローグであり、細胞周期やアポトーシスを制御し形態形成に関与するp63蛋白をコードする。

4. 症状


四肢: 裂手裂足・合指(趾)
(1) 典型例は、Ⅱ指(中央指列)の欠損およびその欠損部に一致した深い V字型の指間陥凹
(2) 重症例では、Ⅱ指だけではなく、Ⅱ・Ⅲ指あるいはⅡ・Ⅲ・Ⅳ指の欠損
(3) 深い裂隙と斜め指変形をきたすこともある。
裂手は両側例あり、また裂足(片側・両側)との合併
時に、皮膚性合指症、拇指の短縮、拇指三指節症、
顔: 口唇・口蓋裂(片側・両側)
眼: 色素薄い虹彩、羞明、眼瞼裂狭小、鼻涙管閉塞、眼瞼炎、涙のう炎
毛: 色薄く、疎 皮膚: 色白の薄い皮膚、軽度の角化症 歯: 低形成、小さい

5. 合併症

難聴、泌尿生殖器、鎖肛、後鼻孔閉鎖 など。

6. 治療法

【診断】
3主徴を有する典型的症例では、診断は臨床症状とX線に可能である。3主徴が必ずしも揃わない例が多く、診断に至っていない。
非典型の場合は、p63遺伝子異常による患者の場合、遺伝子診断が可能である。

【経過・治療】
知能正常、妊孕性正常。
・裂手・裂足に対しては整形外科的治療を行う。手術による外観の矯正・機能の改善が基本とする。将来的に自立をめざして、欠損している指での機能訓練を幼少期から行う。 
・口唇・口蓋裂に対しては形成外科・歯科治療を行う。
・歯低形成に対しては、歯科治療(義歯)や薄毛・はげに対してはカツラ装用で対処する。
・反復する眼科的感染症、特に角膜損傷を伴った慢性涙のう炎に対して、涙管欠損の検索や抗生剤の投与による治療が必要である。

7. 研究班

EEC症候群における有病率調査と実態調査研究班