眼科疾患分野|特発性角膜内皮炎(平成22年度)

とくはつせいかくまくないひえん
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1. 概要

角膜の透明性維持に必須の役割を果たす角膜内皮細胞に特異的な炎症を生 じ、角膜の浮腫と混濁による視力低下を生じる疾患。ウイルス感染が関与する疾患とされるが、原因不明の症例も多く、診断および治療法は確立されていない。 角膜内皮細胞が広範囲に障害されると、不可逆性の角膜内皮機能不全(水疱性角膜症)となり、重篤な視力障害を生じる重症疾患である。

2. 疫学

不明。

3. 原因

単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス等が原因とされるが、原因不明の症例も多い。近年になって、サイトメガロウイルスによる角膜内皮炎が報告されている。

4. 症状

角膜浮腫による霧視、視力低下。

5. 合併症

虹彩毛様体炎、続発緑内障。角膜内皮炎が進行すると水疱性角膜症となる。

6. 治療法

原因ウイルスが確定したものでは、抗ウイルス薬の全身投与、局所投与 (点眼、眼軟膏)と、ステロイド薬の局所投与を併用した治療を行うことで、炎症を沈静化し、角膜内皮障害の進行を遅らせることができる。原因不明の症例で は、炎症を繰り返して水疱性角膜症となる場合が多い。水疱性角膜症に対しては、角膜移植によってドナーの角膜内皮細胞を移植することが必要となる。

7. 研究班

特発性角膜内皮炎の実態把握と診断法確立のための研究班