神経系疾患分野|孔脳症(平成22年度)

こうのうしょう
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1. 概要

孔脳症は、大脳半球内に脳室との交通を有する嚢胞または空洞がみられる先天異常で、脳性麻痺、 特に片麻痺の重要な原因となっている。

2. 疫学

諸外国では、発症率は10 万人に0.5-3.5 人程度とされているが、日本での正確な頻度は不明である。

3. 原因

胎生期における発育異常、炎症性疾患(感染)、梗塞や出血といった脳循環障害などにより発生 すると推測されているが、その原因の多くは不明である。近年、プロコラーゲン4A1(COL4A1)遺伝子の異常が一部の家系例で報告され、脳血管の構造・発生異常が関与していることが示唆されている。

4. 症状

先天性の片麻痺、てんかんがその主な症状である。片麻痺以外にも、両麻痺や三肢麻痺もある。
正常満期産片麻痺では最も多く認められるMRI 異常である。てんかんは約30%にて認められ、難治性はない。

5. 合併症

特にない。家族性の孔脳症では、家系内の遺伝子異常のある家族に腎機能障害や視力障害、脳動脈瘤ができやすい、脳内出血が多いことが報告されている。

6. 治療法

これまでの所、片麻痺に対するリハビリテーション、装具療法、整形外科的治療が主なものである。てんかんに対しては抗けいれん剤にて治療可能である。

7. 研究班

孔脳症の遺伝的要因の解明班