整形外科疾患分野|過剰運動<hypermobility>症候群類縁疾患(平成22年度)

かじょううんどうしょうこうぐんるいえんしっかん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

過剰運動<hypermobility>症候群(ICD-9 分類728.5 ICD-10 分類 M35.7)は、全身にわたる複数の関節に過可動を来す症候群である。家族で集積する場合もあり、結合組織に関わる複数の原因による先天異常、遺伝 性疾患と考えられているが詳細は不明である。

2. 疫学

疼痛管理が難しい方は数百人。

3. 原因

不明。過剰運動を来す多関節のみの症状と、関節以外の皮膚症状、自律神 経などの他の症状を合併することもある。エーラスダンロス 症候群(特に関節(過可動亢進)型)やMarfanマルファン症候群などの他の結合組織疾患にも関節過可動はみられ類似性がある。家系内で同様の症状が集 積することもあり、結合組織に関わる複数の原因があると考えられる。一部は、結合組織に関する因子であるテネイシン-X欠損との関連が指摘されているが、 本邦では明らかではない。

4. 症状

関節周辺の不定愁訴から発症し、全身の複数の関節過可動から関節脱臼、亜脱臼、関節の変形へと進行することがある。症状の改善に至る良性から疼痛管理が難しいものまで幅がある。

5. 合併症

関節症状だけ、あるいは関節以外の皮膚症状、自律神経症状を有することがある。

6. 治療法

疼痛管理が重要であり、理学的療法や装具や心理的なサポートも重要である。リウマチ性疾患と症状が類似することがあるが、リウマチ性疾患への治療、外科的治療は現在知られている限りでは功を奏さないことも多い。

7. 研究班

過剰運動<hypermobility>症候群類縁疾患における診断基準の確立ならびに病態解明班