IgG4関連全身硬化性疾患(平成21年度)

IgG4かんれんぜんしんこうかせいしっかん
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

IgG4関連全身性疾患は、自己免疫異常や血中IgG4高値に加え、膵、肝胆、唾液腺・涙腺、後腹膜腔など、全身臓器に類似病変を 認め、近年「IgG4関連全身性硬化性疾患」として注目されている。膵病変では自己免疫性膵炎、肝胆道では硬化性胆管炎、唾液腺・涙腺では腫脹(ミクリッ ク病)、後腹膜腔では後腹膜線維症や間質性腎炎、代謝・内分泌腺では糖尿病や慢性甲状腺炎、その他、腹腔・肺門部リンパ節腫脹や各臓器の偽腫瘍などを呈す ることもある。本症では血中IgG4高値、病変臓器におけるIgG4陽性形質細胞浸潤、線維化を特徴とする。類似の難治性疾患として知られている唾液腺・ 涙腺病変のシェーグレン症候群、肝胆道病変の原発性硬化性胆管炎などとは臨床像や病理組織像を異にするため、別の疾患と考えられている。 「systemic IgG4-related plasmacytic syndrome(SIPS) 」、「IgG4-positive multi-organ lym-phoproliferative syndrome(MOLPS)」などリンパ増殖症とのとらえ方もあり、未だ単一疾患としての概念は確立されていない。

2. 疫学

IgG4疾患として全体の統計はないが、実態調査の先行する自己免疫性膵炎での有病率は10万人対1人である。

3. 原因の解明

原因は不明であるが、高γグロブリン血症、高IgG血症、高IgG4血症、自己抗体の存在、ステロイドに反応するなど、自己免疫的機序が推定されている。

4. 主な症状

閉塞性黄疸、口腔・眼球結膜乾燥感、全身倦怠感など各臓器障害や糖尿病に基づく症状を呈する。

5. 主な合併症

各臓器の中で特に肝胆膵病変にもとづく閉塞性黄疸や糖尿病、後腹膜線維症による尿管閉塞と水腎症が大きい合併症であり、臨床上特に問題となる。

6. 主な治療法

確立された治療法はないが、ステロイドが奏功する。ステロイドが無効の場合には免疫調節剤なども試みられている。閉塞性黄疸、糖尿病、尿管閉塞など重大な合併症のある場合には、ステロイド投与に先行してこれらの治療をまず行う。

7. 研究班

IgG4関連全身疾患の病態解明と疾患概念確立のための臨床研究班