中條-西村症候群(平成21年度)

なかじょう-にしむらしょうこうぐん
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1. 概要

幼少児期に凍瘡様皮疹にて発症し、結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り返しながら、次第に長く節くれ立った指、顔面と上肢を主体と する部分的脂肪筋肉萎縮が進行する、慢性炎症と消耗を特徴とする自己炎症疾患である。血族婚や家族内発症の存在から劣性遺伝性と考えられ、また発症地域に 偏りがあり、日本以外からの報告はない。

2. 疫学

30人程度

3. 原因の解明

1939年に中條により「凍瘡を合併セル続発性骨骨膜症」として最初に報告され、1950年に西村により第2報が報告された。その 後1985年にKitanoらにより"A syndromewith nodular erythema, elongated and thickened fingers, and emaciation"、1993年にTanakaらにより"Hereditary lipo-musucular atrophy with joint contracture,skin eruptions and hyper-g-globulinemia"という新しい遺伝性症候群として報告された。Nakajo syndrome (MIM256040)、Nakajo-Nishimura syndrome (ORPHA2615)としてデータベースに登録されているが、原因遺伝子は不明である。

4. 主な症状

幼少児期に手足の凍瘡様皮疹にて発症する場合が多い。その後結節性紅斑様皮疹が全身に出没したり、周期性発熱や筋炎症状を繰り返す ようになる。早期より大脳基底核の石灰化を伴うが、成長発達障害ははっきりしない。しかし次第に特徴的な長く節くれ立った指と、顔面と上肢を主体とする部 分的脂肪筋肉萎縮、やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す場合がある。LDH、CPK、CRPやAアミロイドが陽性で抗核抗体も陽性になることがあ る。一方ステロイド内服により逆に腹部や下半身の肥満を来す場合もある。脂肪代謝異常ははっきりしないが、恐らく呼吸障害や心機能低下のために早世する症 例が多い。

5. 主な合併症

手指や肘関節の屈曲拘縮、やせ、呼吸障害、心機能低下など。

6. 主な治療法

標準的治療法はない。ステロイド内服が行われ、発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、萎縮ややせには無効である。むしろ長期内服による成長障害、代償性肥満、緑内障、骨粗鬆症など弊害も多い.

7. 研究班

中條ー西村症候群の疾患概念の確立と病態解明へのアプローチ