先天性ビオチン代謝異常症(平成21年度)

せんてんせいびおちんたいしゃいじょうしょう
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1. 概要

ビオチンは4種類のカルボキシラーゼ(プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ、メチルクロトニル-CoAカルボキシラーゼ、ピルビ ン酸カルボキシラーゼ、アセチル-CoAカルボキシラーゼ)の酵素活性化に必須のビタミンである。先天性ビオチン代謝異常症は、この活性化が障害される先 天代謝異常症であり、ホロカルボキシラーゼ合成酵素(HCS)欠損症とビオチニダーゼ欠損症の二つの疾患に大別される。いずれも常染色体劣性遺伝疾患であ る。

2. 疫学

100人以下

3. 原因の解明

ホロカルボキシラーゼ合成酵素(HCS)欠損症もビオチニダーゼ欠損症のいずれも常染色体劣性遺伝疾患であるため、それぞれの遺伝 子(HLCS, BD)の両方の対立遺伝子に変異があるために、充分な機能を持つHCS酵素もしくはビオチニダーゼが発現できず、結果としてビオチンの代謝異常を生じる。

4. 主な症状

HCS欠損症は新生児期から乳児期早期にかけて嘔吐、哺乳不良、嗜眠、筋緊張低下、呼吸障害などで発症し、著明なケトアシドーシ ス、高乳酸血症、高アンモニア血症が特徴である。また、膿痂疹、乾癬様の皮膚症状を合併することが多い。ビオチニダーゼ欠損症は主に乳児期以降に筋緊張低 下、けいれん、運動失調などの神経症状で発症することが多い。また、脱毛症や皮膚炎症状も見られる。

5. 主な合併症

前項に記載のとおり、膿痂疹、乾癬様、難知性湿疹、脱毛などの皮膚症状を合併することが多い。

6. 主な治療法

ビオチンを5-20mg/日、経口もしくは経静脈的に投与する。

7. 研究班

先天性ビオチン代謝異常症における分子遺伝学的方法による病態解析および迅速診断法の開発研究班