若年性線維筋痛症(平成21年度)

じゃくねんせいせんいきんつうしょう
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1. 概要

若年性線維筋痛症は、小児の特異な発育環境と性格傾向に環境因子が心因的ストレスとして作用し発症すると推測されている。生活障害 度は著しく先進国では爆発的に増加し、全身痛、全身倦怠感、睡眠障害などによる登校障害・不登校を認めることが多く、成人線維筋痛症で使用されている鎮痛 剤・抗炎症剤や抗うつ剤などはまったく無効である。わが国の小児リウマチ専門施設に対する一昨年の調査で、若年性線維筋痛症は約30名が登録された。しか し欧米では小児リウマチ専門施設の新規患者は全リウマチ・膠原病患者の約8%とされており、わが国の専門施設での最近の増加傾向から推定数2~3,000 名と考えらえる。

2. 疫学

約2,000例

3. 原因

若年性線維筋痛症の臨床像、病態についての検討は稀で、本邦では皆無である。発育環境や特異な環境因子が心因性ストレスとなり発症 する疾患だが、ストレスの身体機能に与える生化学的影響はまったく解明されていない。患児は近年増加傾向にあり、当施設で年間約50名にも達した。当施設 では脂肪酸代謝に特有の異常を検出し、ミトコンドリア機能低下を示唆する初の知見を得た。従ってミトコンドリア呼吸鎖の補酵素 ubiquinon/ubiquinolの量的均衡の破綻、ATP産生能低下などの側面から病因の解明を進めている。

4. 症状

全身痛、全身倦怠感、睡眠障害など

5. 合併症

不登校、摂食障害など

6. 治療法

鎮痛薬、抗うつ薬、漢方療法など

7. 研究班

若年性線維筋痛症の診断・疫学、病因・病態の解明と治療法の創出班