甲状腺中毒症の原因となる未治療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレスが加わった時に、甲状腺ホルモン作用過剰に対する生体の代償機構の破綻により複数臓器が機能不全に陥った結果、生命の危機に直面した緊急治療を要する病態をいう。

約250人/年間（推定）

発症機序は不明であり、甲状腺機能検査では通常の甲状腺中毒症と区別できず、臨床的症状・徴候に基づいて診断される。しばしば感染、手術、ストレスなどを誘因として発症し、甲状腺ホルモンレベルが著明に高くない場合でも発症する。

高体温、高度の頻脈や多汗、ショックなど。

意識障害を中心とした中枢神経症状、下痢・嘔吐・黄疸などの消化器症状、心不全を中心とした循環器症状、が特徴的。これらの症状のうち、臓器症状では中枢神経症状の合併が最も多くかつ特異的であると考えられる。

甲状腺腫、眼球突出など。

多臓器不全、ショック

バセドウ病による場合、大量の抗甲状腺剤と無機ヨードを投与

βブロッカーや副腎皮質ホルモンの投与

一般的緊急処置、十分な輸液と電解質補正、身体の冷却と解熱剤

甲状腺中毒クリーゼに関する調査研究班