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血液・凝固系疾患分野非定型溶血性尿毒症症候群(平成23年度)

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1. 概要

溶血性尿毒症症候群(HUS)は、溶血性貧血、血小板減少、腎障害を3徴候とする、5歳未満の小児に多く見られる疾患である。HUSの約90%は下痢を伴い、O157等の病原性大腸菌に感染することで発症する。一方で、下痢を伴わないHUSが約10%存在し、それらは非定型(atypical,a)HUSと呼ばれている。下痢関連HUSは比較的予後が良いのに対し、aHUSでは致死率が約25%と予後が非常に悪い。本邦におけるaHUSの病態解析は欧米に比べ著しく遅れており、小児期における早期発見・早期治療のためにも、aHUSの系統的診断基準の確立が必要である。

2. 疫学

毎年100万人に2人発症 。小児では100万人に7人発症。(ヨーロッパからの報告)

3. 原因

aHUSの原因として近年注目されているのが、補体活性化制御因子の遺伝子異常である。これらの遺伝子異常はaHUS患者の約60%で見つかっており、中でもH因子(FH)の異常が高頻度で見られる。また、最近では血管内皮細胞上で抗血栓作用を持つトロンボモジュリン(TM)の遺伝子異常も原因の1つとして報告されている。これらは海外からの報告であり,本邦では病因の解明はほとんど行われていない。

4. 症状

aHUSで見られる主な症状としては、血小板数の減少による出血班(紫斑)などの出血症状や溶血性貧血による全身倦怠感,息切れなどである。また,高度の腎不全によって浮腫,乏尿が認められることもある。時に,発熱や精神神経症状などを認める場合がある。

5. 合併症

主たる合併症としては、腎障害である。aHUSでは、その約半数が血液透析が必要な高度の腎不全に至ると言われており,致死率が25%と高い理由は腎不全によるものである。

6. 治療法

現時点での有効な治療法としては、血漿交換や血漿輸注などがの血漿療法がある。これらの血漿療法は1970年代後半から導入され、aHUS患者の死亡率は50%から25%にまで低下した。なお,MCP(膜補因子蛋白質)の遺伝子異常によるaHUSは血漿療法の適応はないが,予後が非常に良いと報告されている。

7. 研究班

非定型溶血性尿毒症症候群の診断法と治療法の確立研究班