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奇形症候群アラジール(Alagille)症候群(平成23年度)

あらじーるしょうこうぐん
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1. 概要

アラジール症候群は、小葉間胆管減少症による慢性胆汁うっ滞に特徴的な肝外症状を伴う、遺伝性肝内胆汁うっ滞症である。従来の臨床症状による診断では、「肝臓、顔貌、心血管、眼球、椎体の全てに異常が見られる場合を完全型アラジール症候群、肝臓を含めて上記の3症状を伴う場合を不完全型アラジール症候群」という。近年は、これらの臨床症状を全ては満たさないが、特有の遺伝子異常を伴う場合も本症として報告されている。

2. 疫学

2009年に行われた厚生労働省研究班による全国調査の結果では、日本全国で114名の患者様が報告されました。日本肝移植研究会の登録では、アラジール症候群の方への肝移植数は平成20年度までで、59名でした。欧米の報告では、本症では約1/3の方で肝移植が必要になるとされています。

3. 原因

原因遺伝子としてJAG1が1997年に、Notch2が2006年に、それぞれ発見され、現在ではJAG1の異常によるアラジール症候群1型とNotch2によるアラジール症候群2型が区別されるようになった。JAG1とNotch2はともに、Notchシグナル伝達系を構成し、この遺伝子異常が胎生期の発生過程で何らかの影響をきたすことが原因と考えられているが、病態の詳細は不明である。

4. 症状

乳児期から始まる黄疸が主要症状であり、しばしば胆道閉鎖症や新生児肝炎と鑑別を要する。非典型例では、黄疸がなく、先天性心疾患や腎障害が前景に立つ場合がある。特に、本症2型では重症腎障害が特徴的とされる。心血管系の異常としては末梢性肺動脈狭窄が、椎体異常では前方弓癒合不全が、眼球では後部胎生環が特徴的な異常である。さらに、発育・発達障害、性腺機能不全、消化管の異常などを伴う場合がある。

5. 合併症

黄疸を伴う本症患者の約3分の1が幼児期以降に胆汁うっ滞性肝硬変に進行する。近年、このような場合も肝移植によって長期生存が可能になってきた。一方、肝移植後も成長障害や頭蓋内出血をきたす可能性が報告されている。特に、肝移植が可能になってからは、胆汁うっ滞性肝硬変よりも血管奇形による頭蓋内出血が重要な合併症になっている。

6. 治療法

慢性の胆汁うっ滞や成長障害に対して、脂溶性ビタミンや中鎖脂肪酸(MCT)の補充など栄養療法を長期に継続する。痒みや高脂血症に対して陰イオン交換樹脂や脂質降下薬が使われる場合がある。胆汁うっ滞性肝硬変に進行したり、痒みなどにより著しくQOLが低下した場合には肝移植が行われる。重篤な心疾患については外科手術が、腎不全については透析や腎移植が必要なことがある。

7. 研究班

"Alagille(アラジール)症候群に関する調査研究班
(Alagille症候群など遺伝性胆汁うっ滞性疾患の診断ガイドライン作成、実態調査並びに生体資料のバンク化研究班)