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内分泌分野多発性内分泌腫瘍症1型および2型(平成23年度)

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1. 概要

多発性内分泌腫瘍症(MEN)は複数の内分泌臓器および非内分泌臓器に異時性に良性、悪性の腫瘍が多発する症候群で、MEN1とMEN2の2疾患を含む。MEN1では副甲状腺機能亢進症、下垂体腺腫、膵消化管内分泌腫瘍が三大病変であり、他に副腎や皮膚、胸腺などにも腫瘍が発生する。MEN2は甲状腺髄様癌、副腎褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症が三大病変で、MEN2Bとよばれる亜型では眼瞼や口唇、舌に粘膜神経腫を合併する。

2. 疫学

1型(MEN1)、2型(MEN2)のいずれも海外では約3万人に1人程度の頻度とされており、これを当てはめると国内の患者はそれぞれ約4、000人と推測される。

3. 原因

MEN1の大部分は腫瘍抑制遺伝子MEN1の、MEN2は癌原遺伝子RETの変異に起因することが明らかにされている。ただしこうした遺伝子変異によって特定の臓器に腫瘍が形成される機序についてはいまだ不明な点が多い。

4. 症状

MEN1では、副甲状腺機能亢進症に伴う消化性潰瘍、尿路結石、易骨折性の他、下垂体腫瘍や膵消化管腫瘍では過剰に分泌されるホルモンによる臨床症状(先端巨大症、クッシング病、無月経、消化性潰瘍、低血糖など)と、腫瘍による圧迫症状(頭痛、視野狭窄など)を認める。
MEN2では褐色細胞腫による発作性の高血圧や副甲状腺機能亢進症による症状を呈するが、甲状腺髄様癌は頸部腫瘤として発見されるまで無症状であることが多い。またMEN2Bでは顔面の粘膜神経腫による特徴的な顔貌のほか、マルファン症候群様の体型を呈する。

5. 合併症

MEN1における胸腺腫瘍は悪性度が高く有効な治療法が存在しないため、早期に骨や肝臓に転移して病的骨折や疼痛を招き、直接死因となる。また現在のところ一部の病変を除いて治療はいずれも外手術が第一選択であるため、手術に伴い各臓器の機能不全を生じることも多く、特に膵腫瘍に対する治療では部分切除であっても術後の糖尿病罹患リスクが高い。
MEN2においても甲状腺髄様癌は早期に治療を行わないと、骨、肺、肝臓などに早期に転移をきたす。一方手術(甲状腺全摘術)後は生涯にわたって甲状腺ホルモンの補充を要する。褐色細胞腫も適切な診断と治療がなされないと、発作性高血圧や不整脈を引き起こし、突然死の原因となる。両側褐色細胞腫を外科的に摘出した場合は、術後副腎皮質機能不全に対する糖質ステロイドの投与が永続的に必要となる。

6. 治療法

現在のところ本症における腫瘍の発生や増殖を阻止する方法は存在せず、治療の原則は定期検査により病変を早期に発見し、外科的治療を行うことにある。罹患臓器が多岐にわたるため、患者は多数の定期検査を受ける必要があり、多くの場合複数回の手術を繰り返す必要がある。MEN2では患者の子どもに対して遺伝学的検査を施行し、変異を有する場合には発症前の予防的甲状腺全摘術を行なうことが推奨されているが、長期的な便益と不利益の検討や、適切な手術時期については議論の余地がある。

7. 研究班

厚生労働省難治性疾患克服研究事業(研究奨励分野)「多発性内分泌腫瘍症1型および2型の診療実態調査と診断治療指針の作成」研究班