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血液・凝固系疾患分野乳児ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)(平成23年度)

にゅうじらんげるはんすさいぼうそしききゅうしょう
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1. 概要

未熟樹状細胞の性質をもつLCH細胞が皮膚や骨、リンパ節、肝臓、脾臓、肺、造血器、頭蓋内などで異常に増殖し、組織の障害と破壊を起こす。
単一臓器のみに病変がある(主に骨病変)単一臓器型と、多臓器に病変がある多臓器型(骨、皮膚、造血器、リンパ節、肝臓、脾臓、軟部組織、肺などに病変)に分類される。単一臓器型は、単独病変型と多発病変型に、多臓器型は、リスク臓器(肝臓、脾臓、肺、造血器)浸潤の有無で2病型に分けられる。

2. 疫学

LCHの発症年齢のピークは乳児期であるが全年齢に発症しうる。
乳児では多臓器型でリスク臓器浸潤を伴う例が多い。
日本でのLCH発症数は乳児が年間15-20例、乳児を除く小児が年間30~40例、成人が年間20~30例と推定される。

3. 原因

ランゲルハンス細胞の増殖機序については不明である。腫瘍説と免疫異常説がある。

4. 症状

病変の部位によって、発熱、皮疹、リンパ節腫脹、中耳炎、骨痛、軟部組織腫脹、呼吸不全、黄疸、貧血、出血傾向、運動障害など様々な症状を呈する。
多臓器型でリスク臓器(肝臓または脾臓、肺、造血器)に浸潤のある場合には生命予後は不良であり、強力な抗がん剤治療をしても、約10%の例は急速に進行し致命的となる。
肝臓や脾臓、造血器、肺に浸潤がない例の生命予後は良好であるが、多臓器型の50%は再燃し慢性に経過する。

5. 合併症

多臓器型では半数以上に、中枢性尿崩症や成長ホルモン分泌不全などの内分泌障害、側湾や椎体圧迫骨折などの整形外科的障害、呼吸不全、肝不全、中枢神経障害など様々な不可逆的後遺症が残る。側頭骨や眼窩、副鼻腔などに病変がある場合、中枢性尿崩症を発症する確率が高く、中枢神経リスク病変と呼ばれる。

6. 治療法

多臓器型の場合、抗がん剤による治療が必須である。急速進行例では、造血細胞移植を行わなければ救命できないことが多い。単一臓器型で多病変の場合にも抗がん剤による治療がすすめられる。単一臓器型で単独病変の場合には自然治癒することもあり、無治療経過観察することもある。ただし、中枢神経リスク病変や椎体病変の場合には抗がん剤治療がすすめられる。骨病変を大きく削り取ると骨の再生が生じず骨欠損をきたすので、大きな外科的処置は避けたほうがよい。放射線照射も、放射線による晩期障害を考慮するとすすめられない。乳児の皮膚単独型の場合には多臓器型に移行し急速に進行することがあり注意を要する。

7. 研究班

乳児ランゲルハンス細胞組織球症の標準治療の確立と新規治療法の開発研究班