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消化器系疾患分野慢性偽性腸閉塞症(平成23年度)

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1. 概要

慢性偽性腸閉塞症Chronic Intestinal Pseudo-obstruction (CIPないしはCIPO)は食道から直腸までの全消化管を罹患対象とし時間的空間的にその罹患部位を変化させながら罹患腸管において蠕動能の著明な低下をきたし、器質的閉塞がないのに機械的腸閉塞様症状を呈する慢性の疾患である。腸閉塞症状の悪化で繰り返す腸管切除を余儀なくされ短腸症候群による栄養障害に至ることや、罹患部位に小腸が含まれる場合は長期わたる腸管拡張により腸管での機能異常、すなわち消化吸収症障害が起こり、長期の中心静脈栄養を余儀なくされる状況に至るような疾患である。

2. 疫学

本研究班では平成21年度に不十分ながら診断基準案を作成し、消化器内科、大腸肛門外科の我が国における専門家への実態調査を行い、内科系の調査では症状発現から診断確定まで実に長期にわたることが明らかにされ、まず当該疾患の医師における認知が急務であることが分かった。平成22年度から全国的な疫学調査を行っているところである。なお、平成21年度に作成した診断基準案は、本邦、海外の専門家の助言と批判を取り入れて改定を行った。

3. 原因

慢性偽性腸閉塞は特発性と続発性に分けられる。小腸運動障害が多いが、全消化管に発症し得る。そのうち大腸に孤発する型は大腸偽性腸閉塞と呼ばれ、一過性の急性型と、症状を繰り返す慢性型に分けられる。続発性の原疾患として最も多いのが全身性硬化症(強皮症、SSc)であり、他に糖尿病、薬剤性、肺燕麦細胞癌(小細胞癌の一種)等の悪性腫瘍、セリアック病、放射線治療照射後、サイトメガロウイルス感染、筋ジストロフィー、Chagas病等が挙げられる。

4. 症状

症状は、慢性的な腹部膨隆、腹痛(びまん性の疝痛であることが多い)、便通異常(下痢が多い)、嘔気嘔吐などを繰り返す。食道蠕動不全があれば嚥下困難がみられる。腹部膨満や腹痛は、嘔吐や排便、排ガスにより一時的に開放される。下痢は、小腸内容が停滞し、脂肪便が形成されることにより腸内の細菌が異常繁殖による吸収異常などに起因して発生する。
初発症状としては,腹満81%が最も多く,嘔吐41%,腹痛34%,便秘27%,下痢26%であった.初発症状から診断までの期間は,平均7.3年,中央値2年であった.

5. 合併症

合併症としては,巨大膀胱,神経因性膀胱などの膀胱機能障害が17%と高率に認められた.

6. 治療法

続発性の場合には原因疾患の治療や原因薬物の中止により改善することがある.原発性の例や,続発性であっても原因疾患の治療が困難な例では,CIPの治療は困難である.治療増悪期のイレウス症状に対する禁飲食,輸液,減圧チューブ挿入などの対症療法が治療の中心となる.
薬物療法として,慢性期にはoctreotideやmetoclopramide,tegaserodが投与され,増悪期にはこれらに加えてerythromycinやneostigmineも用いられる.
CIPに対する外科治療のおもな役割は,急性増悪期の腸管減圧をより容易にすることであり,根本的な治療法ではない.安易な開腹はpolysurgeryとなる可能性があり,慎重に決定すべきと考える.しかし,CIPのうち罹患部位が大腸に限定される疾患である慢性特発性大腸偽性腸閉塞症では拡張腸管の外科的切除が有効なこともある.
 

7. 研究班

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