神経系疾患分野|ファ-ル病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核石灰化症)(平成23年度)

ふぁーるびょう(とくはつせいりょうそくせいだいのうきていかく・しょうのうしじょうかくせっかいかしょう)
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1. 概要

ファール病の名称は両側性に、大脳基底核、小脳歯状核に石灰化をきたす、原因不明の疾患として慣例的に使用されてきた。家族例の報告もある。脳内の石灰化の原因としては副甲状腺機能低下や先天性代謝異常症などがある。ファール病の臨床症状も無症状からパーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、認知症状をきたすなど幅広い。また初老期認知症の中で、ファール病同様の石灰化とともに、病理学的に大脳皮質にびまん性に多数の神経原線維変化を認める疾患が日本から報告され、Kosaka-Shibayma病と海外でも呼称されているが、その関連性を検討することもまた重要である。

2. 疫学

典型例は本邦では約100例と推定している。厳密な定義、また解剖所見に基づく病理学的診断以外に、診断方法、診断基準も確立していない。

3. 原因

多くはカルシウム代謝に異常を認めず、病態、原因は全く不明である。重金属ならびにそれに関連したトランスポーターの異常が推定される。家族性の報告があり、何らかの遺伝的な背景があることが予測される。

4. 症状

無症状からパーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、認知症状をきたすなど幅広い。本疾患は若年発症例もあり、進行性である。また偶発的に頭部CT所見から見つかることもある。

5. 合併症

錐体外路症状、小脳症状による転倒、骨折がある。

6. 治療法


 

7. 研究班

我々が調べた限り、班としてファール病に取り組んだ研究は従来までなかった。
平成22年度「ファール病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核小脳石灰化症)の分子病態の解明」研究班
平成23年度「ファール病(特発性両側性大脳基底核・小脳歯状核小脳石灰化症)の診断方法の確立と治療法の開発」研究班