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その他分野リ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群とその類縁症候群(平成23年度)

Li-Fraumeniしょうこうぐんとそのるいえんしょうこうぐん
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1. 概要

リ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群は家族性にがんを多発する遺伝症候群の一つで、常染色体優性遺伝の形式をとる。古典的なリ・フラウメニ症候群とその類縁症候群であるリ・フラウメニ様症候群の二つの病型が知られており、以下のような臨床診断基準に基づいて診断される。
リ・フラウメニ症候群の定義:発端者が45歳以前に肉腫と診断され、かつ一度近親者に45歳未満に診断されたがん患者があり、かつ一度もしくは二度近親者に45歳未満のがん患者あるいは年齢を問わない肉腫患者がある。
リ・フラウメニ様症候群の定義:一度もしくは二度近親者の2人に、年齢を問わずリ・フラウメニ症候群関連悪性腫瘍(肉腫,乳がん,脳腫瘍,副腎皮質がん,または白血病)を有する患者がある。
リ・フラウメニ症候群とリ・フラウメニ様症候群の患者およびその家族は、多発の原発がんを生じるリスクを有するため、発症前の遺伝子検査や出生前診断などの遺伝カウンセリングを十分に考慮される必要があると考えられている。

2. 疫学

リ・フラウメニ症候群は非常にまれで、世界での報告は400家系に満たない。しかしながら、最近のデータでは原因遺伝子であるTP53遺伝子の異常が2万分の1程度の高頻度で認められる可能性が示唆されている。

3. 原因

現在のところ、リ・フラウメニ症候群とリ・フラウメニ様症候群に関連が確認されている遺伝子はTP53遺伝子のみである。約70%のリ・フラウメニ症候群と約20%のリ・フラウメニ様症候群の患者は生殖細胞系列にこのTP53遺伝子の異常を有し、本症候群の主たる要因と考えられている。

4. 症状

リ・フラウメニ症候群の患者は一般より若い年齢でがんを発症するリスクが高く、そのリスクは30歳までに50%、60歳までに90%以上と報告されている。また、本症候群は多発性に原発がんを生じるリスクも高く、2種のがんを発症するリスクは57%、3種のがんを発症するリスクは38%と推測されている。中心的ながんは、軟部組織肉腫、骨肉腫、閉経前乳がん、脳腫瘍、副腎皮質がんであり、リ・フラウメニ症候群関連腫瘍全体の約80%を占める。

5. 合併症

TP53遺伝子の異常を有する患者は、放射線による二次性悪性腫瘍の合併が知られており、可能な限り放射線治療を回避する必要がある。また、発がん性物質への暴露や喫煙もがん発症のリスクが高くなるため回避するか最小限にすることが推奨されている。

6. 治療法

リ・フラウメニ症候群関連腫瘍は放射線治療を最小限にとどめて、通常のがん治療を行う。ただし、乳がんの場合は、放射線治療を回避する目的で乳腺腫瘍摘出術よりも乳房切除術が推奨されている。また、TP53遺伝子の異常を有する女性に対しては、予防的乳房切除術も選択肢の一つとなっている。

7. 研究班

リ・フラウメニ症候群とその類縁症候群の実態調査及び悪性腫瘍の発症予防法と治療法の確立に関する研究班