メニュー


HOME >> 難治性疾患研究班情報(研究奨励分野) >> 前頭側頭葉変性症(平成23年度)

神経系疾患分野前頭側頭葉変性症(平成23年度)

ぜんとうそくとうようへんせいしょう
研究班名簿 一覧へ戻る

1. 概要

前頭側頭葉変性症は主として初老期に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉を中心に神経変性を来たすため、人格変化や行動障害、失語症、認知機能障害、運動障害などが緩徐に進行する神経変性疾患です。

2. 疫学

4わが国における疫学的研究は少なく正確な数字は不明ですが、3万人未満と推計されます。性差はなく、多くは孤発性ですが、家族内発症する症例もあります。

3. 原因

前頭葉や側頭葉に限局した神経細胞の脱落がみられ、残存神経細胞にはタウ蛋白やTDP-43、FUSなどの異常蛋白が蓄積していることが知られていますが、なぜこのような変化が起こるかは解っていません。家族性の場合には、タウ遺伝子、TDP-43遺伝子、プログラニュリン遺伝子などに変異が見つかっています。

4. 症状

l    行動障害
・常同行動:毎日決まったコースを散歩する常同的周遊や同じ時間に同じ行為を毎日行う時刻表的生活が認められます。
・脱抑制・反社会的行為:礼節や社会通念が欠如し、他の人からどう思われるかを気にしなくなり、自己本位的な行動(我が道を行く行動)や万引きや盗食などの反社会的行為を呈することがあります。
・注意の転導性の亢進:一つの行為を持続して続けることができない注意障害がみられます。
・被影響性の亢進:外的刺激に対して反射的に反応し、模倣行動や強迫的言語応答がみられます。
・食行動変化:過食となり、濃厚な味付けや甘い物を好むようになる嗜好の変化がみられます。
・自発性の低下:自己や周囲に対しても無関心になり、自発性が低下します。
l    言語障害
・非流暢性失語:発語量の減少し、失文法や失構音、失名辞などの運動性失語が潜行性に出現する。発話は努力様で、吃音があり、発話開始が困難となり、会話のリズムとアクセントが障害されます。
・語義性失語:言葉の意味の理解や物の名前などの知識が選択的に失われる語義失語が出現します。語義失語は単語レベルでは復唱も良好ですが、物の名前が言えない語想起障害や複数の物品から、指示された物を指すことができない再認障害がみられます。
l    その他
・認知機能障害、運動障害なども認めることもあります。

5. 合併症

筋萎縮や筋力低下を呈する運動ニューロン疾患を合併することがあります。

6. 治療法

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が行動異常の緩和に有効であるという報告がありますが、根本的治療薬はいまだ確立していません。

7. 研究班

“前頭側頭葉変性症の疫学的検討ならびに診断基準に関する研究”