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皮膚疾患家族性慢性膿皮症(平成23年度)

かぞくせいまんせいのうひしょう
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1. 概要

家族性慢性膿皮症は、頭頸部、腋窩、臀部、外陰部などに、慢性再発性に細菌感染による炎症性病変を繰り返す、難治性の稀な常染色体優性遺伝性疾患である。本症は、患部に瘢痕と瘻孔の形成を繰り返すため、患者に整容面での多大な苦痛を与えるが、それに加え、瘢痕上に有棘細胞癌を発症することが多く、生命予後にも大きな影響を与えるため、病因の解明が強く希求されていたが、その疫学や原因はこれまでほとんど不明であった。しかし、ごく最近になり、その病因がガンマセクレターゼ遺伝子変異であることが明らかになった。我々は、本研究事業を通じ、本邦における本症の発症頻度と予後の調査と病因遺伝子変異の同定を行う予定である。これにより、これまで抗生剤の投与と外科的切除以外に治療法のなかった本症の新しい治療法の開発も期待される。

2. 疫学

本症の発症頻度は、本邦でも海外でもこれまで調査されたことがなく、全く不明である。

3. 原因

本症の原因はこれまで不明であったが、2010年10月に、中国人家系の解析により、ガンマセクレターゼ遺伝子変異により発症することが明らかになった(常染色体優性遺伝)。ガンマセクレターゼ遺伝子変異は若年性アルツハイマー病の病因であることが知られていたが、最近の研究により、同遺伝子に生じたミスセンス変異は若年性アルツハイマー病を、ナンセンス変異、フレームシフト変異、スプライスサイト変異は家族性慢性膿皮症を発症させることが明らかになった。また、最近、我々は、日本人家族性慢性膿皮症患者も中国人と同じくガンマセクレターゼ遺伝子変異により発症することを明らかにした。ガンマセクレターゼの皮膚における働きは完全には解明されていないが、そのノックアウトマウスでは毛孔が閉塞しやすくなることがわかっている。

4. 症状

頭頸部、腋窩、臀部、外陰部などに、慢性再発性に細菌感染による炎症性病変を繰り返す。繰り返す炎症の結果、病変部に瘢痕や瘻孔を次第に生じるようになり、難治化する。患者は細菌感染症に対する自宅での局所処置を連日強いられ、また、整容面での精神的負担も大きいことから、患者のQOLは著しく低下する。

5. 合併症

本症では、病変上に高率に瘢痕を生じ、有棘細胞癌の発症母地となることが知られている。有棘細胞癌は本症の予後を左右する最も重要な因子であり、早期発見・早期治療が重要である。

6. 治療法

軽症例では、抗生剤の内服と外用を行うが、瘢痕と瘻孔を形成し、難治化した症例では、外科的に切除を行う。本症の病変上に生じた有棘細胞癌に対しても外科的切除を行う。

7. 研究班

家族性慢性膿皮症に関する調査研究と病因の解明研究班
(班長:北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野教授 清水 宏)