奇形症候群分野|Silver-Russell症候群(SRS:シルバーラッセル症候群)(平成23年度)

しるばーらっせるしょうこうぐん
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1. 概要

SRSは重度の子宮内発育遅延、出生後の重度の成長障害、三角の顔や広い額などのような頭蓋および顔面特徴、身体非対称とほかの様々な小奇形によって特徴づけられる臨床的に多彩な症状を呈する疾患である。表現型は、幼児期から青年期までの間、顔面特徴と非対称が微妙になるように、通常、年齢によって変化するのも特徴である。遠位染色体11p15の上の低メチル化がこの疾患の主要な原因だと考えられている。また大部分は孤発例であるが、家族例もみられる。

2. 疫学

国内で500~1000人程度の患者数。生殖補助医療との関連性についての報告もある。

3. 原因

SRSに関連する遺伝子領域として、第7、8、15、17、18染色体など、多数の候補座位の報告がある。7番染色体インプリント領域(7~10%)(Price et al. 1999)の異常が推測されるが、直接的な証明はまだなされていない。また、11番染色体H19遺伝子の低メチル化、IGF2遺伝子の発現の抑制がSRS発症に関与すると推察されている。

4. 症状

SRSの主な症状としては、子宮内発育遅延(IUGR)、身体左右非対称、低身長、性発育不全、相対的大頭を伴う逆三角形の顔貌を特徴とする。発育と伴に変化することも特徴の一つである。

5. 合併症

主な合併症として、胃腸障害(77%)、胃食道逆流(34%)、食道炎(25%)、 嚥下障害(63%)、その他、低血糖,発達遅延、心合併症(肥大型心筋症、心奇形、不整脈)等がみられる。

6. 治療法

これまでのところ、治療法は見つかっておらず、対症療法が主である。また、根本的な治療法はないため長期介護が必要となる症例がほとんどである。

7. 研究班

インプリンティング関連疾患調査研究班