皮膚疾患分野|特発性後天性全身性無汗症(平成23年度)

とくはつせいこうてんせいぜんしんせいむかんしょう
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1. 概要

発汗を促す環境下(高温、多湿)においても、発汗がみられない疾患を無汗症という。まれな疾患で発症率は明らかでない。無汗のため、皮膚は乾燥し、時にはコリン性蕁麻疹を合併することもある。また、高温の環境下において体温調節ができず熱中症を容易に発症し発熱、脱力感、疲労感、めまい、動悸さらには意識障害など重篤な症状が出現することもある。このため、夏には外出できなくなるなどの生活の制限がありQOLが著しく損なわれる疾患である。無汗症は先天性と後天性に分類され先天性無汗症は先天性無痛汗症、Fabry病などがある。一方、後天性全身性無汗症の原因はエクリン汗腺の異常、交感神経の異常、自己免疫性疾患、薬剤などによる続発性の発汗障害と原因不明の特発性後天性全身性無汗症に分類されている。特に、特発性後天性全身性無汗症は現在、診断基準、治療法も確立されてなく治療に苦慮する疾患である。特発性後天性全身性無汗症は、特発性分節型無汗症とidiopathic pure sudomtor fairlure(IPSF)などに分類されているが、その病態は明らかにされていない。

2. 疫学

不明

3. 原因

idiopathic pure sudomtor fairlure (IPSF)は血中のIgEが高値で全身性ステロイド投与により軽快することが知られているため、エクリン汗腺のアセチルコリン受容体に対する自己免疫疾患である可能性が推測されている。

4. 症状

発汗の欠如のため、皮膚は常時乾燥し、時には痛みを伴いコリン性蕁麻疹を発症することもある。無汗症の最も大きな問題点は無汗のため、高温の環境下において容易に熱中症を発症し発熱、脱力感、疲労感、めまい、動悸さらには意識障害など重篤な症状が出現することもあるため、夏には外出できなくなるなどの生活の制限がありQOLが著しく損なわれる疾患である。

5. 合併症

熱中症、コリン性蕁麻疹

6. 治療法

ステロイドパルス療法、ステロイド内服療法、免疫抑制剤

7. 研究班

特発性後天性全身性無汗症の病態解析及び治療指針の確立 研究班