血液・凝固系疾患分野(およびその他:腎疾患)|エプシュタイン症候群(平成23年度)

Epsteinしょうこうぐん
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1. 概要

エプシュタイン症候群は、1)、巨大血小板性血小板減少症、2)進行性腎機能障害、3)難聴を合併する遺伝性疾患です。特に腎機能腎障害は進行性であり、症例により思春期にすでに末期腎不全に至ります。難聴(ほぼ完全な聴力消失)をと伴うため、QOLは著しく損なわれ、また血小板減少があることから、血液透析や手術なども困難を極める難治性疾患です。

2. 疫学

本邦においてはこれまで疫学研究が行われておらず(諸外国も同様)、発症頻度、患者数などは不明です。

3. 原因

すでに共同研究者の國島らにより、エプシュタイン症候群が非筋性ミオシン重鎖2A(MYH9遺伝子によりコードされる)異常によることが明らかにされています(Kunishima S et al. Blood 2001)。メイーヘグリン異常症もMYH9異常により発症しますが、遺伝子の特定の変異を有するものが エプシュタイン症候群を発症することがある程度判明しつつあります。

4. 症状

1)巨大血小板性血小板減少症
2)進行性腎機能障害(進行が早いものでは思春期に末期腎不全にいたる)
3)難聴(進行が早いものは20歳台で完全に聴力を失う)

5. 合併症

腎不全、出血傾向にともなう種々の合併症があります。

6. 治療法

確立されたものは現在ありませんが、研究代表者らは、数名でのパイロット研究からアンジオテンシン受容体拮抗薬のタンパク尿減少効果を確認しています。

7. 研究班

小児血液専門医、小児腎臓専門医を中心とした研究組織を構築し、疫学研究および原因の解明、さらに治療法(腎障害の進行を防ぐ)の開発目指します。